祇園寺 (調布市)

虎狛山 祇園寺：調布市の古刹

祇園寺は、東京都調布市佐須町に静かに佇む天台宗の寺院です。虎狛山と号し、地域の人々に親しまれています。本尊は慈悲深い阿弥陀如来。

歴史：満功上人開山と宗派の変遷

寺伝によれば、祇園寺は奈良時代の730年（天平2年）または750年（天平勝宝2年）に、満功上人によって開山されました。満功上人は、同じく調布市にある深大寺を開創したことでも知られています。この地は満功上人の生誕地であるとも伝えられています。

創建当初、祇園寺は法相宗の寺院でしたが、平安時代に天台宗へと改宗しました。その後、寺は一時衰退し、住職が不在の時期が長く続きました。この間に、寺に伝わる古文書などの文献が失われ、詳しい由来や歴史は現在では不明な点が多くなっています。

佐須薬師：行基作と伝わる秘仏

祇園寺には、「佐須薬師」と呼ばれる薬師如来像が所蔵されています。この像は、奈良時代の高僧である行基の作と伝えられており、現在は秘仏として大切にされています。

自由民権運動との関わり：自由の松

明治時代、多摩地域は自由民権運動が盛んな地域でした。1908年（明治41年）9月12日、当時の祇園寺住職であった中西悟玄は、「自由民権運動殉難者慰霊大法要」を執り行い、自由民権運動のために命を落とした人々の霊を弔いました。

この法要には、自由民権運動の指導者であった板垣退助も参列し、記念として松の木を植樹しました。この松は「自由の松」と呼ばれ、現在では大きく成長し、祇園寺の境内にそびえ立っています。「板垣死すとも自由は死せず」という言葉をもとに「板垣死すとも自由の松はすくすくとのびている」と人々に語り継がれています。

文化財

境内には調布市指定有形文化財である鉄造僧形八幡神坐像があります。（平成7年2月23日指定）

交通アクセス

京王線布田駅より徒歩17分。

もう一度検索