祝!九州

『祝!九州』の全貌

『祝!九州』は、九州旅客鉄道（JR九州）が2011年3月12日に九州[[新幹線]]鹿児島ルートの全線開通を祝う目的で開催したイベントが基盤となっている。このイベントは「祝!九州縦断ウエーブ」として知られ、以降は一般に「九州縦断イベント」と呼ばれるようになった。

１．イベントの企画背景

九州の人々が心待ちにしていた新幹線の開業という特別な瞬間を共に祝い、地域の一体感を醸成するため、JR九州は様々な企画を検討した。その中でも特に力を入れたのが「試運転列車を使ってカメラ撮影を行い、沿道の人々と共に一つのCMを作成する」というものだった。この企画は当時の社長、唐池恒二のアイデアから生まれたもので、インド映画『スラムドッグ$ミリオネア』の華やかなダンスシーンに触発されたと語られている。

２．イベントの準備と告知

2011年2月20日、JR九州はこの特別列車の試運転を実施し、CM撮影も同時に行われることを広く告知した。広報活動はテレビ、新聞、Web、駅の掲示物を通じて行われ、福岡県や熊本県をはじめとした14箇所で参加者の募集がスタートした。参加希望者は1万人を見込んでいたが、瞬く間に応募が殺到し、多くの駅で定員に達する状況となった。

このイベントはただ「ウェーブをする」という活動でなく、新幹線に向かって様々なパフォーマンスを行うことが意図されていたにも関わらず、当初の告知はウェーブ中心であった。これらの点から、多彩な地域のパフォーマンスが予想以上の盛り上がりを見せることになった。

３．撮影の日

撮影当日、特別にラッピングされたN700系8000番台が使用され、沿線の人々の活気に満ちた姿を収めるために特別運行が始まった。シーンごとに用意された様々なカメラで、参加者たちの手振りやパフォーマンスが撮影された。沿線には多くの人々が集まり、前代未聞の盛り上がりを見せた。最終的には1万人以上の参加があったと言われ、会場では感涙するスタッフの姿もあった。

４．パフォーマンスの多様性

参加者たちの中には吹奏楽部やダンスグループ、地域の企業、学校など多様な団体が含まれ、一体感のあるパフォーマンスを披露した。鹿児島中央駅では吹奏楽部が演奏し、川内駅や新八代駅ではエアロビクスやマスゲームといったユニークなパフォーマンスが行われ、地域色の強いイベントとなった。このように、各地で様々な個性溢れるパフォーマンスが同時に行われた。

５．報道とCM制作

撮影の日の模様は地域の多くのテレビ局によって取材され、夕方のニュース番組で紹介された。CMが編集される中で、参加者たちの情熱が映し出され、15秒と30秒のバージョンのCMが複数制作された。このCMは九州地区のみに放映される予定だったが、リアクションが大きかったため、全国的な放送を求める声が高まり、再放送が行われる事となった。

６．その後の影響

CMが放送中止となったにも関わらず、YouTubeやSNSを通じて拡散されたロングバージョンの映像は、視聴者に大きな感動を与えた。さらに、東日本大震災の影響を受けつつも、このCMの力強いメッセージは多くの人々に勇気を与え、全国的な反響を呼び起こすきっかけとなった。これにより、九州での絆がさらに強化されることとなった。

まとめ

『祝!九州』は、ただのCM制作にとどまらず、九州の人々の団結や活力を象徴するイベントとなった。多くの参加者の協力によって実現したこのプロジェクトは、地域の誇りを取り戻すきっかけになり、福岡広告協会賞の受賞など数々の評価を得る結果をもたらした。新幹線の開業を機に、地域が一つになった思い出深い一日となったのだ。

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