祝 (米)

祝（いわい）について

祝（いわい）は、イネの一品種であり、日本酒の製造に適した酒造好適米として広く知られています。この米は特に心白が大きいことが特徴で、酒の風味を引き立てる重要な要素となっています。京都産の米を最大限に活かした日本酒の製造を目指して栽培されており、『京の米で京の酒を』という理念のもと、地域ブランドとしての地位を確立しています。

品種特性

祝は、粒が大きく見た目にも美しいものの、分蘖（ぶんげつ）が少ないため全体の収量はあまり多くありません。また、穂が長く育つため、倒伏しやすいという弱点も抱えています。しかし、心白発現率が高く、そのサイズも大きいため、酒米としての適性には優れています。そのため、酒造の専門家たちはこの米を使うことで「味のある酒ができる」と評価しています。心白が大きいことは、酒の甘みや香りを引き立てるための重要な要素ですが、これが割れやすさにもつながるため、精白率は50％程度に制限されます。

栽培史

祝の起源は1933年にさかのぼり、当時の京都府立農事試験場の丹後分場で野条穂の純系から派生した品種として発足しました。この米は1946年と1955年から1973年にかけて京都府の奨励品種として栽培されていましたが、食糧不足や価格低迷、そして収量の少なさから、1973年以降は生産現場から姿を消してしまいました。しかし、優れた酒造適性から「幻の酒米」との名が付き、その価値が再認識されるようになりました。

1992年には京都府のオリジナル品種として復活し、新たな技術として不耕起移植栽培が試験されました。これにより、耕起移植栽培と同様の収量を得ることに成功したのです。2016年には、京都府の醸造用米の作付面積の57.1％を占め、2017年には「五百万石」と共に京都府の重要な酒米銘柄に認定されることになりました。これにより、祝は均質で高品質な日本酒を生産するための重要な原料として再び脚光を浴びています。

参考文献と関連資料

本記事では、いくつかの文献を参考にしていますが、その中でも特に山下道弘と杉本充の研究が注目されています。彼らは『酒米「祝」の生産安定に関する試験』というシリーズで、祝の特性や栽培方法について深く掘り下げています。また、京都府の公式文書でも、祝とその栽培方法に関する情報が触れられており、現在の生産体制からもその重要性が伺えます。

祝は、日本酒ファンにとって特別な存在であり、その歴史と特性を理解することで組織された酒文化の奥深さを感じることができます。これからも、祝が持つ独自の風味と魅力を引き出した日本酒が生まれ続けることを期待しています。

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