奨励品種

奨励品種とは

奨励品種（しょうれいひんしゅ）とは、各都道府県がその地域で普及を推奨する優れた農作物の品種を指します。対象となる主要な農作物には、米、各種麦類（小麦、二条大麦、六条大麦、裸麦）、大豆が含まれますが、地域によっては小豆や菜豆、じゃがいも、サトウキビ、テンサイ、そばなども対象となることがあります。

設定の根拠

奨励品種の制度は、「主要農作物種子法」に基づいています。この法律の目的は、優良な種子の生産と普及を促進し、種子の生産には厳格な審査が求められることです。第8条では、各都道府県に対し必要な試験を行うことが義務付けられており、この基準に基づいて奨励品種が選定されます。都道府県はその選定基準を具体化するために「奨励品種選定規程」や「作物奨励品種規程」といった規定を独自に設けています。

奨励品種に準じた呼称

奨励品種は、都道府県によって異なる名称や区分で表されることがあります。例としては、準奨励品種、認定品種、優良品種、推奨品種、特定品種などが挙げられます。

奨励品種の優遇施策

国や都道府県では、奨励品種の栽培を促進するためにさまざまな優遇措置を講じています。特に米の政府買入価格を設定し、生産者が奨励品種を栽培することが利益をもたらすように配慮されています。例えば、政府によって米の買入価格は銘柄や等級ごとに異なる設定がなされており、これにより奨励品種の栽培が経済的に有利です。

問題点

近年、奨励品種選定においていくつかの課題が指摘されています。まず、優秀な品種の選定基準が消費者の嗜好に影響される傾向があります。特に食味が重視され、病虫害に対する抵抗性が見落とされることが懸念されています。

次に、奨励品種に集中することで、栽培品種が画一化されるリスクがあります。これは、流通上の利点から奨励品種を優先的に栽培する傾向が強まり、地元の在来種や他の優秀な品種が見捨てられる可能性をもたらします。

そして、同じ品種を集中して栽培することによる食料安全面での懸念もあります。特に気候の変動による冷害や干ばつによりリスクが高まることが指摘されています。例えば、1993年に発生した米不足は、いもち病に弱いコシヒカリが広く栽培されていたことが原因の一因とされています。

また、収穫の時期が集中することで、農業の効率が悪化する懸念もあります。特に、収穫された米がカントリーエレベーターで処理される際、その処理能力を超えた場合、深刻な問題を招くことがあります。

まとめ

奨励品種は、日本農業の重要な制度や政策の一環として機能していますが、最近の動向においては選定基準や栽培の多様性、安全面などに関する問題が浮上しており、これらを解決することが今後の課題となるでしょう。

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