祝部成茂

祝部 成茂について

祝部成茂（はふりべのなりもち）は、鎌倉時代前期から中期にかけて活躍した日吉大社の神職であり、また優れた歌人として知られています。彼の生涯は、宗教的、文化的、そして政治的な事件と密接に関わっており、その影響力は様々な場面で現れました。

略歴

成茂は日吉社の神職の家系に生まれ、早くから神主や禰宜、さらには禰宜惣官を務めました。元久元年（1204年）には春日社の歌合で詠んだ詩が評価され、名誉ある叙爵を受けました。こうした歌人としての業績は、彼の後の人生にも影響を与えました。

承久3年（1221年）には、承久の乱に関連して幕府から召喚される事態が起きました。しかし、程なくして彼は疑いを解かれ、安心して日吉に戻ることができました。その後も政治的な混乱に関与し、特に文暦2年（1235年）には日吉社と武士の佐々木高信との対立が原因で神輿を持ち出して強訴を行い、これが幕府の介入を招く結果となりました。この騒動では、成茂が高信に庇護を与えたため、再び鎌倉への下向を強いられることとなります。

また、宝治元年（1247年）には天台宗の僧法印俊範に関連し、日吉社の神宝が濫用されたとして訴えられるなど、成茂は多くの政治的困難に直面しました。それにもかかわらず、建長元年（1249年）には後嵯峨上皇から古希を祝う和歌を賜るなど、文化的評価は高く維持されました。105歳での卒去を迎え、成茂の生涯は様々な出来事に彩られていました。

歌人としての活躍

成茂は歌人としても非常に著名であり、特に元久元年（1204年）の春日社歌合で詠んだ「冬の来て 山もあらはに 木の葉ふり 残る松さへ 峰にさびしき」という詩は、後鳥羽上皇から高い評価を得ました。この歌は後に『新古今和歌集』にも選ばれ、彼の名を後世に伝える重要な作品となりました。その後も、建永元年（1206年）、寛喜4年（1232年）、建長3年（1251年）など、多くの歌合に参加し、活躍を続けました。

自身の歌集『成茂宿禰衆』には多くの作品が含まれており、また勅選された歌も44首にのぼります。彼の妹、後鳥羽院下野は同時代の著名な女流歌人でもあり、この家系が持つ文化的背景の豊かさを示しています。

成茂の歌は、時代によってその評価が変遷し、特に『徒然草』第14段では過去に評価されたものの現代には「歌くず」とされる事例として言及されています。春日社歌合での彼の詠んだ歌も、その一例として挙げられます。

官歴

成茂の官歴に関しては、元久元年（1204年）4月には出雲権守、同年12月には正五位下に叙せられています。後に貞応2年（1223年）には従四位上に晋昇し、建長2年（1250年）には正四位下に至るなど、その地位は段階的に上昇していきました。

結論

祝部成茂は、彼の神職としての役割のみならず、優れた歌人としての業績でも知られています。彼の生涯は、花鳥風月を詠むことで表現されただけでなく、政治的 tumult にも巻き込まれ、多様な経験を通じて形成されていきました。彼の遺した作品は、今も多くの人々に影響を与え続けています。

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