神の国運動

神の国運動とは

神の国運動は、1928年に開催されたエルサレム会議の精神を継承し、社会変革を目指したキリスト教系の運動です。1929年、日本基督教連盟の協議会において、エルサレム会議の精神を具現化するエキュメニカルな運動が提唱されました。これに応える形で、賀川豊彦が中心となり、神の国運動が発足しました。

運動の背景と展開

この運動は、単なる宗教活動にとどまらず、社会の様々な問題に取り組むことを目的としていました。特に、農村部の貧困問題や教育問題に焦点を当て、農民の生活向上を目指した活動を積極的に展開しました。運動の初期には、富田満が委員長に就任し、組織運営を担いました。また、日本組合基督教会の牧師であった海老沢亮が中央幹事として、賀川豊彦と共に全国各地での伝道活動に尽力しました。二人は協力し、運動の拡大に大きく貢献しました。

主な活動内容

神の国運動は、農民福音学校の設立に力を入れました。これは、農民に対してキリスト教の教えを伝えるだけでなく、農業技術や生活に必要な知識を提供する教育機関としての役割も担いました。具体的には、農作業の効率化を図るための技術指導や、生活改善のための知識普及などが行われました。これにより、農民の自立を促し、生活の質の向上を図ることを目指しました。また、農民への技術供与や生活支援など、幅広い社会活動を展開しました。

運動の理念

神の国運動は、キリスト教の教えに基づき、社会全体が神の国となることを目指しました。そのために、個人の信仰だけでなく、社会構造の変革にも積極的に取り組むことを重視しました。この運動は、単なる宗教運動ではなく、社会正義を実現するための実践的な運動としての側面を持っていました。

関連人物

賀川豊彦: 神の国運動の提唱者であり、日本のキリスト教社会運動における重要な人物。
富田満: 日本基督教会牧師で、神の国運動の委員長を務めた。
海老沢亮: 日本組合基督教会の牧師で、神の国運動の中央幹事を務めた。

関連文書

『農民福音學校の理論と實際』 富田満編 (1931年)
『神の國運動とは何ぞや』海老澤亮述、富田滿編 (1931年)
『神の國運動指針（第1、第2、第3）全國協議會記録あり』富田滿編輯 (1929年)
* 『神の國運動宣言書』富田滿著 (1929年)

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