神傳不動流 (真妙流系)

神傳不動流の概要

神傳不動流（しんでんふどうりゅう）は、幕末の京都にて矢田穏清斎（やだおんせいさい）が伝授していた柔術の流派です。この流派は、現在の京都を中心に滋賀県、奈良県、兵庫県などで多くの人々に学ばれていました。歴史的には、同じ地域で同様の内容を教えていた神伝実用流との関連性が指摘されています。

歴史的背景

神傳不動流の源泉は、羽客の矢田半官に遡ります。矢田半官から九世を経て、矢田讃岐守源頼章がさまざまな流派を学び、後に神傳慈眼流を開くこととなります。その後、矢田帯刀源徳幸（矢田穏清斎）がこの流派の後継者となり、神傳不動流と名付けられました。

矢田穏清斎は、幕末の頃、京都の東山で矢田隊という武士の集団を組織して、武術を教えていました。明治時代初頭には、外山家から武術の指南役としての誘いを受けましたが、これを辞退しています。その後、奈良県天川村にて武術指導を行い、さらに明治4年には二卿事件に関連して捕らえられ、その後監禁生活を余儀なくされました。彼は、明治12年に老衰のため解放されるまで、長い囚禁生活を送りました。

教え子と継承

矢田穏清斎の子、矢田隆男は、父と共に私塾を運営し、神傳不動流を広めました。彼もまた、尊皇の志を持ち、時代の流れに抗いながら教育に尽力しました。明治時代においては、鷲尾隆聚が神傳不動流の門人として知られており、剣槍柔術の永続社を設立しています。

また、1902年には滋賀県立第一中学校にて行われた「柔剣両道大会」で神傳不動流の演武が行われ、これには両手抜や車返などの華麗な型が披露されました。このように、流派は明治時代への移行の中でも、その存在を確立していました。

神伝実用流との関係

神傳不動流は、同時期に京都で行われていた神伝実用流と密接な関係にあります。この流派は、真妙流柔術の分派で、羽客の了心醉月翁を流祖とし、北條時吉を経て藤原献次によって確立されました。これを教えた花房厳雄義制は矢田穏清斎と同じく、勤皇派の武士であったため、両者の関係は深いものです。

バーティツとの繋がり

神傳不動流は、バーティツの創始者エドワード・ウィリアム・バートン＝ライトとも関連があります。彼は、兵庫県神戸市の寺嶌貫一郎から神傳不動流を学び、また同じく寺嶌の教えを受けたフレデリック・テン・ケイトも彼の弟子として知られています。

様々な武道の流派

神傳不動流では、柔術以外に棒術や剣術、居合、長刀なども教えられ、武道の幅を広げていました。また、柔術と神伝実用流の内容はほぼ同様であることから、技の伝承がいかに重要であったかが垣間見えます。

結論

神傳不動流は、幕末から明治にかけての日本の武道の歴史の中で、重要な役割を果たした流派のひとつです。流派の継承者たちのもとで、技術は模索され、現代へと受け継がれてきました。

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