神割崎

神割崎について

神割崎は、宮城県の石巻市北上町十三浜と南三陸町戸倉の境界に位置する岬です。この地は、長年の海洋による侵食によって形成された奇岩が特徴で、その岩が二つに割れていることから「神割崎」と名付けられました。割れた岩の間には波が打ち寄せ、その迫力ある光景は多くの人々を魅了しています。

特に、2月中旬と10月下旬頃の早朝には、二つに割れた岩の間から太陽が昇る幻想的な風景を見ることができます。この美しい景観は、日本の白砂青松100選にも選ばれており、自然の造形美を堪能できるスポットとして知られています。

神割崎は、南三陸金華山国定公園の一部でしたが、2015年に三陸復興国立公園に編入されました。また、石巻市側は神割崎自然公園として整備されており、南三陸町側には神割崎キャンプ場が設けられています。このように、神割崎は自然を楽しむだけでなく、アウトドア活動も楽しめる場所として人気を集めています。

神割崎の伝説

神割崎には、古くから語り継がれる伝説があります。『安永風土記』などの江戸時代の史料には、神割崎やその周辺の岩に関する記述が見られます。これらの史料によると、神割崎は村境を巡る論争の最中に、神の力によって一夜にして大岩が割れたとされています。この伝説には、クジラは登場しません。

また、神割崎のさらに先にある「神割石」と呼ばれる岩も、同様に村境の象徴として語り継がれています。これらの伝説は、神割崎が地域の人々にとって、単なる自然の景勝地以上の特別な意味を持つ場所であったことを物語っています。

神割崎の境界問題

明治時代になると、土地の所有権や漁業権が明確化される中で、それまで曖昧だった村の境界を定める必要が生じました。しかし、度重なる話し合いにも関わらず境界は決まらず、神割崎周辺は地元の二つの契約講による共同管理地となりました。最終的に境界が画定したのは1989年であり、江戸時代の風土記に記された境界に近い形となりました。

このように、神割崎は自然の美しさだけでなく、歴史的な背景や地域の人々の関わりの中で、独特の文化を育んできた場所といえるでしょう。現在では、多くの人々が訪れる観光地となり、その美しい景観と歴史を伝えています。

参考資料

北上町史編さん委員会『北上町史』通史編 北上町、2005年。
宮城懸史編纂委員会『宮城懸史』復刻版26（資料篇4）宮城懸史刊行会、1987年。
平凡社地方資料センター『宮城県の地名』（日本歴史地名大系第4巻）平凡社、1987年。

外部リンク

神割崎自然公園（石巻市）
* 神割崎（南三陸町観光協会）

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