三陸復興国立公園

三陸復興国立公園

三陸復興国立公園は、青森県南部から宮城県の牡鹿半島にかけての三陸海岸沿岸に位置する国立公園です。東日本の国立公園の中では珍しい海岸公園であり、その特徴的な景観は多くの人々を魅了しています。公園は管理上、北部の八戸・宮古地区と南部の大船渡地区に分かれており、総面積は12,212ヘクタールに及びます。

歴史

この公園は、1955年5月2日に陸中海岸国立公園として指定されました。しかし、2011年の東日本大震災で沿岸部が甚大な被害を受けたことを受け、復興と震災の記憶を後世に伝えるため、2013年5月24日に青森県の種差海岸階上岳県立公園と八戸市鮫町の2地区を編入し、現在の三陸復興国立公園へと名称が変更されました。さらに、2015年3月31日には南三陸金華山国定公園も編入され、現在も宮城県内の県立公園の編入が検討されています。公園の名称は、復興の進捗状況を踏まえ、将来的に適切な名称へと変更される可能性もあります。

特徴

三陸復興国立公園は、豊かな自然と歴史、そして震災の記憶を伝える場所です。遊歩道が整備され、三陸の自然や文化に触れることができるほか、震災で被害を受けたキャンプ場などを保存することで、津波の脅威を学ぶことができます。

地形

公園の地形は、北部と南部で大きく異なります。北部は典型的な隆起海岸で、高さ50〜200mにも及ぶ海食断崖が連なり、その間に砂浜海岸が点在します。一方、宮古市以南はリアス式海岸であり、陸地の沈降によって形成された複雑な海岸線が特徴です。重茂半島、船越半島、広田半島、牡鹿半島など、大小さまざまな半島が海岸線に突き出しています。

自然

植生:
公園の大部分はアカマツを中心とした自然林で覆われており、半島部には手付かずの自然が残る秘境も存在します。また、千島海流の影響で、温暖な地域に生育する植物も多く見られるのが特徴です。北山崎ではシロハナシャクナゲやハマナス、船越半島ではタブノキ、広田半島ではトベラなど、多様な植物が観察できます。

動物:
北上高地と連続する地域が多いため、ニホンカモシカなどの大型動物が生息しています。また、ウミネコやオオミズナギドリなどの海鳥類も多く、豊かな生態系が保たれています。

主な景勝地

公園内には、以下のような多くの景勝地があります。

青森県:
蕪島（八戸市）
種差海岸（八戸市）
階上岳（階上町）

岩手県:
侍浜海岸（久慈市）
小袖海岸（久慈市）
十府ヶ浦（野田村）
玉川海岸（野田村）
黒崎（普代村）
北山崎（田野畑村）
鵜ノ巣断崖（田野畑村）
熊の鼻展望台（岩泉町）
田老海岸（宮古市）
三王岩（宮古市）
浄土ヶ浜（宮古市）
魹ヶ崎（宮古市）
山田湾（山田町）
船越半島（山田町）
赤平金剛（山田町）
浪板海岸（大槌町）
蓬萊島（大槌町）
御箱崎（釜石市）
三貫島（釜石市）
碁石海岸（大船渡市）
珊瑚島（大船渡市）
高田松原（陸前高田市）

宮城県:
大理石海岸（気仙沼市）
巨釜半造（気仙沼市）
御崎（気仙沼市）
龍舞崎（気仙沼市大島）
岩井崎（気仙沼市）
田束山（気仙沼市・南三陸町）
神割崎（南三陸町・石巻市）
横山不動尊・柳津虚空蔵尊（登米市）
コバルトライン（石巻市・女川町）
江島（女川町）
田代島（石巻市）
金華山（石巻市）

名称について

以前の名称である「陸中海岸国立公園」は、「三陸」という名称が広く浸透しているため、「三陸海岸国立公園」と誤解されることが多くありました。そのため、「三陸海岸」への名称変更を求める声が上がり、1999年には陸中海岸国立公園協会が名称変更を決定し、国へ要請しました。しかし、「陸前」「陸中」という二つの地域名に対して、青森県の「陸奥」が含まれていないという反対運動があり、名称変更は難航しました。国立公園指定当初の区域は岩手県普代村から釜石市までの陸中地区のみでしたが、後に北は久慈市、南は宮城県気仙沼市まで指定区域が拡大したため、「陸中」という名称が実情にそぐわなくなっていました。

2011年5月、環境省は陸中海岸国立公園と南三陸金華山国定公園に、青森県立自然公園と3つの宮城県立自然公園を加え、「三陸復興国立公園」として再編する構想を発表しました。2013年5月24日には、青森県の県立公園を編入することで、三陸復興国立公園が正式にスタートし、名称問題も解決しました。

ビジターセンター

公園の利用者数は2008年の時点で記録されています。

画像

三陸復興国立公園の美しい風景や、かつての陸中海岸国立公園の切手など、様々な画像が公園の魅力を伝えています。

外部リンク

三陸復興国立公園
* 三陸復興国立公園協会

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