神奈川県立茅ケ崎里山公園

神奈川県立茅ケ崎里山公園

神奈川県茅ヶ崎市芹沢に広がる神奈川県立茅ケ崎里山公園は、豊かな自然環境が保全・活用された広大な都市公園です。かつての里山の風景を偲ばせる谷戸や雑木林が広がり、四季折々の表情を見せてくれます。特に、天候に恵まれれば、園内の高台などから霊峰富士の美しい姿を望むことができ、その景観は国土交通省関東地方整備局によって「関東の富士見百景」の一つにも選ばれています。公園の中心的な施設である「谷戸の家」は、かつてこの地で芹沢村の村役人を務めた旧常盤家住宅の跡地に建てられたもので、里山の暮らしや歴史に触れることができます。

この公園の設置は、茅ヶ崎市北部地区の活性化を目指す要望に応える形で進められました。自然環境を活かした広域公園としての役割が期待され、1991年に神奈川県の「第二次新神奈川計画改定実施計画」において、県内19番目の県立公園として位置づけられました。その後、1993年には都市計画が決定され、公園整備が具体化していきます。公園名称の選定にあたっては、公募が行われました。当時の茅ヶ崎市北部から藤沢市北西部にかけての一帯は、多くの谷戸が存在し、畑や雑木林が織りなす典型的な里山の風景が広がっていたことに由来し、「里山公園」と名付けられました。この名称には、失われつつある日本の原風景を保存し、次世代に伝えるという願いが込められています。

公園は茅ヶ崎市北部の起伏に富んだ丘陵地帯に整備されており、広大な敷地内には多様な施設が点在しています。子どもたちが思い切り体を動かせる遊具エリアは特に人気が高く、中でも全長約70メートルにも及ぶ長いローラーすべり台「風のすべり台」や、弾んで楽しめる大型トランポリン「雲のトランポリン」は、この公園のシンボル的な存在と言えるでしょう。また、自然の中で食事を楽しみたいというニーズに応え、公園北端にはバーベキュー場が設けられています。このバーベキュー場は予約制となっており、手軽にアウトドアレジャーを楽しむことができます。

神奈川県立茅ケ崎里山公園は、段階的に開園面積を広げてきました。最初の開園は2001年（平成13年）10月28日で、この時点での開園面積は約12.4ヘクタールでした。その後、2012年（平成24年）4月には約34.3ヘクタール、2014年（平成26年）4月には約35.2ヘクタールと、追加開園を重ねることで現在の広大な規模となりました。

公園へのアクセスは、公共交通機関を利用する場合、最寄りのバス停が複数あります。神奈川中央交通の「芹沢入口」バス停、または茅ヶ崎市コミュニティバス「えぼし号」の「里山公園」バス停が便利です。電車でお越しの際は、各駅からのバス路線があります。例えば、湘南台駅からは西口2番乗り場から湘17系統「文教大学」行きバス、茅ヶ崎駅からは北口1番乗り場から茅50系統「文教大学」行きバスに乗車し、「芹沢入口」で下車するのが一般的です。また、香川駅からは西口駅前広場より北部循環市立病院線を利用することも可能です。車での来園者向けに駐車場も完備されています。

公園周辺には、のどかな風景が広がり、近隣には小出川のせせらぎや、歴史ある腰掛神社などがあります。また、文教大学湘南キャンパスも比較的近い距離に位置しています。神奈川県立茅ケ崎里山公園は、都市近郊にありながらも豊かな自然を満喫でき、家族連れから高齢者まで、多くの人々が憩い、学び、活動できる貴重な空間となっています。

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