神宮方

神宮方（じんぐうかた）

神宮方とは、室町幕府に設置された機関の一つで、伊勢神宮に関する様々な政策を管轄していました。室町幕府は、朝廷に代わって伊勢神宮の造替（ぞうたい：建て替えや修理）や、そのために必要な役夫工米（やくぶくまい：造営に必要な労働力や米）の徴収、あるいはその免除などについて、主に担当しました。

成立と職務

神宮方の設置時期については、明確な記録が残っておらず、詳しい成立過程は不明です。しかし、応永3年（1396年）には既にその存在が確認されており、少なくともこの頃には幕府の機関として機能していたと考えられています。

具体的な職務内容についても、詳細な記録が残っていないため、不明な点が多いのが現状です。しかし、伊勢神宮の造営に関する事項を取り扱っていたことから、幕府における神宮の維持・管理において重要な役割を担っていたことは間違いないでしょう。

組織

神宮方の長官は、神宮方頭人（じんぐうかたとうにん）もしくは神宮頭人（じんぐうとうにん）と称されました。この役職は、特定の家柄に固定されていたわけではなく、摂津氏、太田氏、町野氏など、幕府官僚の家から選ばれることが多かったようです。彼らは幕府の中枢で活躍する官僚であり、神宮方の運営においても中心的な役割を果たしました。

神宮頭人の下には、開闔（かいこう）と呼ばれる役職や、国ごとの奉行（ぶぎょう）などの職員が配置されていました。これらの職員は、神宮頭人の指示のもと、それぞれの担当地域における神宮関連の業務を遂行していたと考えられます。しかし、これらの職員の具体的な職務内容についても、詳細な記録が残っていないため、不明な点が多いのが現状です。

参考文献

西山克「神宮奉行」『国史大辞典 7』（吉川弘文館 1986年） ISBN 978-4-642-00507-4
西山克「神宮頭人」『日本史大事典 3』（平凡社 1993年） ISBN 978-4-582-13103-1
* 勝山清次「神宮頭人」『日本歴史大事典 2』（小学館 2000年） ISBN 978-4-09-523002-3

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