開闔

開闔（かいこう）についての詳細

開闔（かいこう）とは、平安時代以降の日本において、主に公武機関に設置された役職の一つである。この役職は、書類や文書の出納、勘査を担当し、文書管理の要職として機能していた。

誕生と役割

開闔は、平安時代の朝廷内にいくつかの機関、具体的には和歌所や御書所、記録所などに設置されていた。このような役職は、院庁や摂関家の文殿にも見ることができ、文書の処理や管理業務を通じて、当時の政治運営に寄与していた。開闔はその内部でおおよそ中級の地位に位置しており、事務や実務部門においては、事実上の責任者として扱われることが多かった。すなわち、彼らは日常的な業務の遂行において中心的な役割を果たしていたのだ。

鎌倉幕府と室町幕府の継承

さらに、鎌倉幕府においても開闔は重要な役割を担っていた。引付において奉行人の上首が開闔とされ、議事の進行を実務的に担当していた。この制度は、その後の室町幕府でも引き継がれ、内談衆や侍所などの重要な機関にも同様の役職が設置された。特に政所においては、開闔は「執事代」と称されることもあり、その名称の使われ方からも、その地位の重要性が伺える。

室町幕府の後期には、侍所開闔として松田氏や飯尾氏が、政所執事代としては蜷川氏がその地位を占めるようになった。彼らは文書の管理や事務処理のトップとして、行政機能の維持に寄与していた。

侍所における開闔の時代

文化期において、特に文明18年（1486年）以降、侍所では開闔が事実上の責任者として機能することが多くなった。長官である所司およびそれを補佐する所司代が空席のため、開闔が検断業務を行うようになった。このことは、開闔の役職が単なる文書管理にとどまらず、実際の政治や司法においても非常に重要な役割を果たしていたことを示している。

他の機関への影響

さらに、室町幕府の他の機関、例えば神宮方などにも開闔が設置され、文書の管理業務が広く行われていた。これは、政治や行政が中央集権的に運営される中で、文書を通じた情報の流通が不可欠であったためである。

結論

以上のように、開闔は平安時代から室町時代にかけて、日本の公的機関において非常に重要な役割を果たしていた役職である。文書管理や事務の実務を担当し、政務や司法の遂行においても大きな影響を持っていた。

参考文献

• - 笠松宏至「開闔」（『日本史大事典 2』（平凡社、1993年））
• - 山本博也「開闔」（『国史大辞典 3』（吉川弘文館、1983年））

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