神崎安隆

神崎安隆 - プロ野球選手の足跡

神崎安隆（かんざき やすたか）は、1932年8月2日に広島県で生まれたプロ野球選手で、主に捕手として1950年代に活躍しました。彼は1951年に松竹ロビンスに入団し、短いキャリアの中で印象的な出来事を成し遂げることになります。

来歴・人物

神崎は盈進商業高等学校に在籍中、1949年の秋季中国大会に出場しましたが、1回戦で延長13回の接戦の末、米子東高に敗れました。翌夏の甲子園予選では西中国大会準決勝まで進出も、三原高に破れます。高校時代には、同級生の土屋弘光と共にチームを支えました。

1951年に松竹ロビンスに入団した神崎は、現役選手でありながらブルペン捕手としても活動し、その年の一軍戦には1試合出場を果たしましたが、さらなる活躍は実現しませんでした。

緊迫したゲームでの初安打

1952年6月15日、神崎のキャリアの中で特に印象的な瞬間が訪れます。大阪スタヂアムでの対読売ジャイアンツ戦では、松竹打線が別所毅彦の前で9回2死まで無得点という完全試合の危機に瀕していました。この時、監督の指名を受けた神崎は代打として登場し、カウントが2ストライク3ボールの中で冷静に遊撃手前にゴロを転がしました。その結果、彼は一塁へ全力疾走し、平井三郎からの送球より先に一塁を駆け抜けることで見事に内野安打を記録しました。この安打は、彼にとって初めてのプロとしてのヒットであり、別所の完全試合を阻止するという偉業ともなりました。

神崎は1952年に18試合に出場し、この年がキャリアの中でもっとも出場試合数が多いシーズンとなりましたが、その後、彼の出場は減少します。1953年には松竹ロビンスが合併により大洋松竹ロビンスとなり、その後の一軍でのチャンスには恵まれませんでした。

広島カープへの移籍と引退

1954年、故郷の広島カープに移籍し、そこで2試合に出場しましたが、監督やチーム戦略の変化により、その年限りで選手としてのキャリアを終えることとなります。その後、プロ野球の世界から離れ、小学生にソフトボール技術を教える活動に取り組んでいった神崎ですが、1985年に病気により53歳で他界しました。

人生の糧となった安打

神崎は後年、テレビ番組でこの試合が取り上げられた際に「自分はプロ野球選手としては成功できなかったが、あの内野安打がその後の人生を生きる自信になった」と語っています。この言葉は、彼がプロとしての評価を超え、自らの経験を人生の糧にしていたことを示しています。別所毅彦もその発言を聞いて、神崎があの瞬間を前向きに受け止めていたことを嬉しく思ったと語ったと言います。

背番号と名誉

神崎は、28番を着用した選手とも知られていますが、彼のキャリアを通じてこの番号を着ることは珍しいものでした。また、横浜DeNAベイスターズにおいては27番を着用した唯一の捕手であることからも、彼の存在は特別なものとして記憶されています。

神崎安隆のプロ野球選手としての軌跡は、長いキャリアこそなかったものの、特に初安打のエピソードが今でも語り継がれています。彼の功績は、スポーツを通じて若い世代に引き継がれ、記憶に留められることでしょう。

もう一度検索