神崎遺跡

神崎遺跡とは

神崎遺跡（かんざきいせき）は、中部地方の神奈川県綾瀬市南西部に位置する遺跡で、推定するに弥生時代後期の2世紀頃に栄えた集落の跡です。2011年2月7日に国の史跡に指定され、現在は都市公園として整備されています。

遺跡の位置と環境

神崎遺跡は相模野台地の南西端にあり、南北に長い台地の端部に位置します。この台地は、東側に目久尻川、西側にその支流に挟まれています。標高は約24メートルで、周囲の沖積地よりも高く、台地との標高差は約11メートルです。遺跡内には数軒の住宅と道路がありますが、多くは畑地になっています。1989年に発見された当時、遺跡の保護がうまく行われており、良好な保存状態が維持されています。

発見と調査の経緯

遺跡が発見された背景には、綾瀬市が1987年度に市史を編纂する際に弥生時代に関する記録が不足していたことがあります。弥生土器の収集が少ない中、調査が進められ、1989年にはNo.78遺跡として発掘が行われました。調査では、多くの土器や環濠集落の存在が確認され、これまでにない充実した成果を上げました。

その後も続く調査において、1993年や1994年にも緊急調査が行われましたが、特に目立つ遺構は確認されませんでした。2008年には国の史跡指定に向けた調査が行われ、2009年には環濠の南部や北側外部で新たな調査が実施されました。

遺跡の状況

神崎遺跡は南北103メートル、東西65メートルの楕円形の環濠で囲まれた集落跡で、2世紀の弥生時代後期のものと考えられています。この環濠集落には、約10〜15棟の住居があったと思われますが、周辺の環濠の外側からは大きな遺物は発見されていません。

環濠の特徴

神崎遺跡の環濠は、平均して1.8メートルの深さを持つ急傾斜のV字型で、南北103メートル、東西65メートルと推定される楕円形です。この環濠は、集落周囲に社会的緊張を反映した形で掘られたと考えられています。

住居址と出土品

これまでの調査で確認された9基の住居址は、主に長方形の形状を持ち、各居住址からは多くの土器や道具が出土されています。土器については、関東地方南部に頻繁に見られる形状のものが発見され、特に豊川流域の土器とよく似た外来系とされる土器が多く見つかっています。また一部の道具や道具捨て場からも、当時の住居の様子が明らかになっています。

神崎遺跡の重要性

神崎遺跡は、弥生時代後期の人々がどのように生活していたかを示す非常に貴重な遺跡です。現在でも発掘が十分に行われておらず、遺存状況は良好であるため、今後さらなる調査によって新たな発見が期待されています。また、綾瀬市神崎遺跡資料館では、遺跡の出土品や歴史についての展示がなされ、地域の文化を学ぶ場となっています。遺跡は、人口の流入や地域移動が活発だった2世紀の歴史的な証拠を提供し、国家形成の過渡期を象徴する存在となっています。

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