神戸ムスリムモスク

神戸ムスリムモスク

神戸ムスリムモスク（こうべむすりむもすく）は、兵庫県神戸市中央区に位置する歴史深いモスクで、1935年に設立され、日本国内では初のイスラーム教寺院とされています。このモスクは、神戸在住のトルコ人や亡命タタール人、インド人商人らの寄付によって建てられました。

モスクの内部は、イスラム教徒かどうかを問わず見学可能であり、1階には男性用の礼拝堂、2階には女性用の礼拝堂があります。見学希望者が多い場合は事前に連絡をする必要があります。また、訪問者は肌の露出が少ない服装を心がけることが推奨されており、これにより訪問の礼儀が保たれます。隣接するイスラーム文化センターでは、イスラム教に関する勉強会も開かれており、広くイスラムの基礎知識が提供されています。

歴史的背景

神戸にモスクを建設する計画が最初に持ち上がったのは1909年のことで、東京での尝試がありましたが、用地の確保ができずに頓挫しました。その後も1924年に再度計画が実施されましたが、モスク本体はまだ建設されませんでした。しかし、1928年にインドから来日した貿易商が計画を本格化させ、1931年には「回教徒小学校」が開設されるも、モスクは建てられませんでした。

神戸でのモスク建立の必要性は、第一次世界大戦中や戦後に多くのムスリムが移住してきたため高まっていきました。1934年には、竹中工務店と契約し、建設工事が始まりました。設計はチェコ出身の建築家ヤン・ヨセフ・スワガーが担当し、鉄筋コンクリート構造の三階建ての建物が完成しました。

モスクの竣工と評価

1935年7月にはモスクの完成に至り、同年8月2日に献堂式が行われました。この式典にはインド、ロシア、ドイツ、日本などさまざまな国からのムスリムたちが参加し、モスクの歴史的な意義を祝いました。モスクの運営主体はスンナ派に基づき、ハナフィー学派の信徒により理事や監事が選ばれました。

日本政府は当時イスラムを新宗教と見なしていたため、法人格は与えられなかったものの、モスク建立に資金を援助した記録はありませんでした。また、戦中は日本海軍に接収されることもありましたが、1945年の神戸大空襲では建物が焼失せず、1995年の阪神淡路大震災でも耐え抜きました。

建築の特性

神戸ムスリムモスクは、その構造が非常に頑強であり、地下室を有することから防災対策にも優れています。地上三階、地下一階の構造は、スワガーの設計に基づき、特に簡素な見栄えで、他のモスクと比較すると控えめな印象を与えます。

現在、神戸モスクはムスリムのコミュニティにおける重要な拠点として機能しており、さまざまな宗教行事や文化イベントが行われています。周辺にはハラール食品を扱う店舗も多く、ムスリムの生活圏としても一役担っています。これにより、地域の多様性が一層高まり、様々な文化の交流が生まれ続けているとも言えるでしょう。

受け継がれてきた神戸ムスリムモスクの歴史は、単なる建物としての価値にとどまらず、宗教的寛容の象徴としても語り継がれています。

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