神戸商業講習所

神戸商業講習所の成り立ちと歴史

神戸商業講習所は、1878年1月に兵庫県と福沢諭吉によって設立された、日本で二番目の商業教育機関です。現神戸市に位置し、商業や貿易に関わる人材を育成することを目的としていました。設立当初は、福沢の協力を得た兵庫県令・森岡昌純の主導の下で進められ、1878年には開校式が行われました。

設立の背景

西南戦争後、森岡は県勧業課長の牛場卓蔵を通じて福沢諭吉と接触、商業講習所の設立を文部省に申請しました。開校式は1878年1月26日で、福沢は教育と事務に関して全面的に協力をしました。開校当初の教員は慶應義塾から派遣された甲斐織衛を含む3名で、教室には14歳以上の生徒19名が通いました。

特徴と教育内容

神戸商業講習所の教育は、従来の英語中心の商学教育とは異なり、和書を用いた簿記和訳や物産知識を提供していました。特に注目すべきは、1882年に日本初の中国語科を設置し、中国語の教育が始まったことです。これは国際的な商取引の拡大に向けた先見の明が感じられます。

財政問題と運営の変遷

しかし、開校後まもなく兵庫県議会が予算削減を決定したことで、講習所は財政的に厳しい状況に直面しました。それでも、農商務省や文部省からの補助金を受けながら運営が続けられました。1886年1月にはようやく兵庫県に戻され、県立神戸商業学校へと改編されました。これにより、神戸商業講習所は県立教育機関としての位置を確立しました。現在の兵庫県立神戸商業高等学校は、この講習所の流れを汲むものとして「日本最古の商業高校」とされています。

校地の移転と記念

講習所の設立当初の校地は、福沢の知人の屋敷に位置していましたが、1879年には元町に、1883年には下山手に移転しました。初期の所在地には、今も記念碑が建立されており、その歴史を今に伝えています。また、講習所の夜間部も創立当初から設置され、多くの学びの場が地域に提供されました。

著名な卒業生たち

この講習所から多くの著名な人材が輩出されました。水島銕也は、神戸高等商業学校の初代校長として設立に寄与しました。村瀬春雄は海上保険学の権威として知られ、範多龍太郎はイギリスで実業に従事するなど、各界で活躍しました。彼らの存在は、神戸商業講習所の教育がいかに時代のニーズに応えてきたかを示す証しでもあります。

まとめ

神戸商業講習所の成立は、明治時代における商業教育の重要な一歩でした。その後の発展を通じて、現在の兵庫県立神戸商業高等学校につながる流れを持ち、地域の教育や経済に多大な影響を与える存在として続いています。

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