神戸市交通局200形電車

神戸市交通局200形電車

神戸市交通局200形電車は、かつて神戸市電に在籍した路面電車車両です。1964年に大阪市交通局から901形15両が譲渡されました。

車両概要

200形は、老朽化した300形・400形単車の代替として導入され、入線時に大阪車輌工業で改造を受けました。改造内容は基本的に100形に準じています。

特徴的な点として、正面窓が変則的な3枚窓に改造されたことが挙げられます。これは、戦後のガラス不足時代に窓を分割したように見せていたものを、換気のために実際に3枚窓としたものです。また、正面中央に行先方向幕、右側には経由地表示幕が設置されました。系統板を使用するため、正面右側窓下には系統板差しが取り付けられています。

ただし、台車位置の関係で、神戸市電式のフェンダーストライカーは装備されませんでした。ヘッドライトは元のまま存置されたため、窓上にヘッドライトを搭載した唯一の車両となりました。方向指示器は設置されず、中央部のドアはプレスドアに取り替えられています。

200形は、大阪から阪神北大阪線を経由して神戸市電に自走で入線し、長田の交通局車両工場まで回送されました。

運用と廃車

200形は1964年春から夏にかけて順次運用を開始し、須磨車庫に配属されました。主に300形・400形単車の代替として使用されましたが、運転手と乗客の双方から不評でした。100形が人身事故を起こした影響で、フェンダーストライカーが未装備の200形も一時休車となりました。

運用復帰後は、須磨車庫所属の各系統に投入されました。特に9系統によく使用され、100形が投入された12系統・13系統と東部国道線で並走する光景が見られました。この光景は、大阪市電三宝線を彷彿とさせました。

路線縮小に伴い、200形は1968年5月1日付で全車廃車となりました。廃車後、一部車両は漁礁として沈められたり、学校や民間施設に払い下げられたりしました。

評価

200形の種車となった大阪市電801形・901形は、日本の路面電車の歴史に残る車両でしたが、神戸市電に移籍後は不評でした。フェンダーストライカーが取り付けられないことや、パワー不足などが理由として挙げられ、「神戸市電の伝統をイメージダウンさせた車両」とまで言われました。その結果、置き換える予定だった300形よりも先に廃車されることになりました。

大阪市交通局は、神戸市交通局への譲渡にあたり、事故歴がなく状態の良い車両を選んでいます。同時期の車両には861形や868形がありましたが、戦災復旧車が多かったため、譲渡には適しませんでした。また、2001形や2101形といった新型車両は、主力として使用される予定だったため、譲渡対象外となりました。しかし、フェンダーストライカーの取り付け工事を行わなかったことが、不評を招く一因となりました。大阪側の厚意が裏目に出てしまった結果と言えるでしょう。

もう一度検索