神戸市電須磨線

神戸市電須磨線：神戸の街を駆け抜けた路面電車

神戸市電須磨線は、かつて神戸市の東尻池2丁目から須磨駅を結んでいた、歴史ある路面電車路線でした。その全線は国道2号線に沿って敷設され、神戸市民の生活に深く根付いていました。

特に、須磨駅への延伸は大きな出来事でした。須磨区天神町付近では山陽本線と交差するため、道路併用型の陸橋である天神橋が建設されました。この天神橋は、市電の廃止後も道路橋として現役であり続け、現在では兵庫県の近代化遺産に指定されているほど、歴史的にも重要な建造物となっています。その堅牢な構造と、地域のランドマークとしての存在感は、今もなお人々の記憶に鮮明に残っています。

須磨線の歴史をたどってみましょう。1925年（大正14年）12月1日、東尻池2丁目から大橋9丁目間で営業を開始しました。その後、順次路線を延伸し、1926年（大正15年）には鷹取町、離宮道へと伸びていきました。1927年（昭和2年）には須磨浦通4丁目まで到達、そして1937年（昭和12年）1月28日、ついに須磨駅まで全線が4.859kmに渡って開通しました。この延伸により、須磨へのアクセスが飛躍的に向上し、沿線地域の発展に大きく貢献しました。

その後、時代とともに須磨線の姿も変化していきます。1961年以前には、須磨浦通4丁目停留場が須磨水族館前停留場へと改称され、千森川停留場が廃止されました。そして、1968年（昭和43年）4月21日には衣掛町から須磨駅間の運行が終了、1970年（昭和45年）3月15日には大橋9丁目から衣掛町間も廃止されました。そして、ついに1971年（昭和46年）3月14日、東尻池2丁目から大橋9丁目間が廃止され、長きに渡って神戸市民に親しまれてきた須磨線は、その歴史に幕を閉じました。

須磨線の全盛期には多くの停留場が存在し、多くの市民が利用していました。1962年7月当時の様子を想像すると、活気ある街並みが目に浮かびます。各停留場には、それぞれの地域の歴史や文化が息づいており、人々の生活と密接に結びついていました。

現在、須磨線は姿を消しましたが、天神橋をはじめとする、その痕跡は今も神戸に残っています。かつての賑わい、人々の生活を支えた歴史を偲びながら、これらの遺構を巡ることで、須磨線の物語を再発見できるでしょう。多くの文献や資料、そして人々の記憶の中に、神戸市電須磨線の歴史は生き続けています。

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