神戸新交通1000型電車

神戸新交通1000型電車

神戸新交通1000型電車は、六甲アイランド線（六甲ライナー）で使用される新交通システム（AGT）用車両です。1990年2月21日の六甲ライナー開業と同時に9編成が運用を開始しました。ポートライナーの8000型や2000型が6両編成であるのに対し、1000型は4両編成で構成されています。将来の6両編成化を見越して、車両番号には300番台と400番台が欠番となっています。

ポートライナーにも1000形という形式の試作車両が存在しましたが、本形式とは一切関連がありません。

外観と内装

車体はアルミ製で、クリーム色をベースに神戸新交通のコーポレートカラーである緑色のラインが施されています。非常脱出用の貫通扉の左側には、愛称と社名のロゴマークが配置されています。8000型と比較して、やや丸みを帯びた形状が特徴です。

台車は、8000型で使用されていたウレタン充填ゴムタイヤから、中子式気体入りゴムタイヤに変更され、これにより最高速度が62.5km/hに向上しました。駆動方式、制御方式、歯車比は8000型と同様ですが、主電動機は8000型よりも出力を高めた三菱電機製のMB-3298A（出力110kW）を採用し、各電動車に2基ずつ搭載しています。

補助電源装置は、47kVA容量の補助変圧器で、三相交流550Vを入力電圧とし、三相交流200Vと三相交流100Vを出力します。また、整流器による直流100V出力も備えています。

内装は、先頭車両の運転台側半分がクロスシートとなっており、荷物棚はありませんが、各車両の端に設置されたモニター装置の箱が荷物置き場として活用されています。窓は、運転台側が固定窓、それ以外は上部3分の1が内側に少し開く構造です。非常時に乗客と運転指令所間で通話するための通話装置は、8000型と同じ送受話器型ですが、色が壁と同じベージュに変更されました。

住吉駅～南魚崎駅間の住宅街を走行する際は、プライバシー保護のため、マリンパーク駅に向かって右側の窓ガラスに瞬間くもりガラスが採用されています。また、前面向かって左側の運転台背面部分には、神戸新交通のコーポレートロゴマークと「六甲ライナー」の愛称が記載されており、夜間は緑色に点灯します。登場当初は「神戸新交通六甲アイランド線」と表記されていました。

最終増備車の第11編成には、車内に小型のLED式車内案内表示器が設置されています。

瞬間くもりガラス

マリンパーク駅に向かって右側の窓ガラスには、2枚のガラスの間に液晶シートを挟み込んだ合わせガラスが使用されています。これは、線路沿いのマンション内部が見えないようにするための対策です。液晶シートに封入された特殊ポリマー内の液晶分子は、通常は不規則に並んでいるためガラスが白く曇りますが、電流を流すと一定方向に整列し透明になります。つまり、電流が流れていると透明、電流が切れると曇る仕組みです。ただし、ドア部分とマリンパーク方先頭車の運転席付近のガラスは曇りません。

製造時期と震災

01～09編成は1989年、10編成は1993年、11編成は1998年に、すべて川崎重工業で製造されました。

1995年1月17日、09編成は上り始発列車として南魚崎～魚崎間を走行中（住吉駅に向かって走行中、約50km/h）に兵庫県南部地震（阪神・淡路大震災）に遭遇し、脱線、大破しました。編成のうち3両（1209, 1509, 1609号車）が軌道上の構造物と衝突し、車体、台車、集電装置に大きな損傷を受けましたが、最後尾の1109号車は無事でした。損傷の激しかった3両は川崎重工業兵庫工場で大規模な修繕工事が行われ、約1年後の1996年1月23日に営業運転に復帰しました。また、07編成はマリンパーク駅に停車中に被災しましたが、被害は免れました。

編成表

2022年4月1日現在、4両編成×4本（計16両）が在籍しています。

今後の動向

老朽化のため、2018年度から2023年度にかけて新型車両（3000形）に置き換えられ、全車が廃車される予定です。

参考文献

交友社『鉄道ファン』
1990年2月号 新車ガイド「神戸新交通六甲アイランド線1000形」
1997年3月号 連載「阪神大震災 被災と復旧の記録7 神戸新交通」
鉄道図書刊行会『鉄道ピクトリアル』
1990年10月臨時増刊号 新車年鑑「神戸新交通1000形」

外部リンク

神戸新交通
システム紹介ページ
川崎重工業車両カンパニーWebサイト内
車両紹介ページ（インターネットアーカイブ）
台車紹介ページ（インターネットアーカイブ）

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