三浦関造

三浦関造：多才な精神世界の探求者

三浦関造（1883年7月15日 - 1960年3月30日）は、日本の教育論者、翻訳家、民間精神療法家、ヨーガ行者、神智学徒、そしてメタフィジカル教師として、その多岐にわたる活動で知られています。彼は、精神世界ブームが起こる以前から、大衆的なオカルティズムを日本に広めた先駆者的な存在でした。

生涯と業績

福岡県に生まれた三浦関造は、福岡師範学校を経て、1913年に青山学院神学部を卒業しました。当初は日本メソジスト教会の牧師として活動しましたが、同年、ルソーの『エミール』を翻訳出版し、これがベストセラーとなります。しかし、数ヶ月後には牧師を辞め、文筆活動に専念する道を選びました。

1916年には、『埋もれし世界』を発表し、近代神智学の創始者であるヘレナ・P・ブラヴァツキーの惑星進化論を日本に紹介しました。『六合雑誌』などで活動し、トルストイやドストエフスキーなどの翻訳、タゴールの研究にも取り組みました。また、民間精神療法家の兼子尚積との出会いをきっかけに、教育論者からスピリチュアルな実践家へと転身しました。

1928年には、青い玉が光に変わるという神秘体験をし、さらに偉大な人物を思わせる女性と老人の姿を見たことで「使命」を自覚したとされています。1929年までには、精神療法家として活動を開始しており、1930年から1931年にかけては渡米し、ポイントロマの神智学協会で講演を行い、現地のメタフィジカル教師たちと交流しました。帰国後、神智学的なメシア論や人種進化論を基に、黄金崇拝から精神崇拝への霊性進化論やメシア＝天皇論を展開しました。

戦時中は上海に滞在し、外国人向けに英語でオカルティズムに関する講演を行いました。終戦の翌年には帰国し、超古代史観を提唱する犬塚惟重が会長を務める日猶懇話会の副会長に就任しました。1949年には神智学の啓蒙と「綜合ヨガ」を提唱し、1953年にはパラマハンサ・ヨガナンダのヨガ技法をまとめた『幸福への招待』を出版。ヨガ実践団体「竜王会」を設立しました。竜王会で紹介したヨガは、ヨガナンダのものではなく、独自の統覚の行を基にしたものでした。

また、出版社「竜王文庫」を創設し、日本で衰退していた神智学を積極的に紹介。神智学関連の書籍やヨガ行法の解説書の出版、機関誌『至上我の光』を発刊しました。アリス・ベイリーやモーリス・ドリールといった神智学系の思想家を紹介するなど、神智学徒およびヨガ指導者として活躍した晩年の7年間は、特にドーリルの思想に傾倒していました。

多岐にわたる著作と翻訳

三浦関造は、多くの著作と翻訳を手がけました。著作には、神秘主義を扱った『埋れし世界』、教育論を展開した『社会的の自己実現教育進化の六千年』、トルストイを研究した『小学教師としてのトルストイ』などがあります。また、詩集や創作小説も発表し、その多才ぶりを示しました。

翻訳作品としては、『エミール』をはじめ、ロマン・ローランの『ジャン・クリストフ』、トルストイの『人生』、タゴールの作品などがあり、幅広い分野の海外文学を日本に紹介しました。

精神世界への深い探求

三浦関造は、神智学、ヨガ、精神療法など、多様な分野に関心を抱き、それらを統合した独自の思想を構築しました。彼の思想は、霊性進化、メシア思想、ヨガの実践といった要素を融合させ、日本における精神世界運動に大きな影響を与えました。

三浦関造の生涯は、教育者から精神世界の探求者へと転身し、その幅広い知識と深い洞察力によって、多くの人々に影響を与えました。彼の著作や活動は、現代においてもなお、精神世界に関心を持つ人々にとって重要な示唆を与え続けています。

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