神月かりん

神月 かりん



神月かりん(かんづき かりん)は、カプコンの人気対戦型格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズに登場するキャラクターです。元々は中平正彦氏の漫画『さくらがんばる!』に、主人公である春日野さくらのライバルとして生み出されたオリジナルキャラクターでしたが、その設定や存在がゲーム本編に逆輸入され、多くの作品で活躍するようになりました。ゲームへの初登場は1998年に稼働したアーケードゲーム『ストリートファイターZERO3』です。

人物像と背景



かりんは、日本有数の巨大財閥である神月家の令嬢として、世田谷区に広大な敷地を持つ屋敷に暮らしています。頭脳明晰で容姿端麗であるだけでなく、「万事において常に勝利者であるべし」という厳格な家訓の下、あらゆる武術や格闘技を体得。16歳という若さで、その合計は驚異的な100段と8級に達するとされます。

そんな彼女の人生に初めての「敗北」をもたらしたのが、高校で出会った同級生、春日野さくらでした。学園での対戦(体育館での果し合い)に敗れて以来、かりんはさくらを一方的に宿命のライバルと定め、打倒さくらを目指すようになります。後に、さくらにストリートファイトの手ほどきをした火引弾に弟子入りするという意外な一面も見せました。

普段の態度は非常にプライドが高く、誰に対しても高飛車で尊大なため、周囲からは傲慢に見られがちです。しかし、悪人や著しく弱い相手でなければ、たとえ敵であってもその実力や健闘を素直に称える潔さも持ち合わせています。特に自身が認めるさくらに対しては、陰から支援することもあり、リュウやケンといった著名な格闘家には純粋な尊敬の念を示すなど、単なるお嬢様とは異なる複雑な面を持っています。

ストリートファイターV』では神月財閥の現当主に就任。その影響力は大きく、日本政府との繋がりや、リュウ、ケンといった世界の強者たちとのネットワーク構築など、財閥当主としての活動も詳細に描かれています。対シャドルーの最終決戦では、持ち前の情報収集能力や統率力で仲間をまとめ上げるなど、物語の進行に重要な役割を果たしました。また、元シャドルー構成員のバーディーを食客として屋敷に置いており、彼のトレーニング相手を務めることもあります。

神月家の描写はゲームや漫画作品において、非常に極端かつ常識離れしたものが多く見られます。宇宙から地球を見下ろすことで特定の奥義を修得する修行、月面に建てられた別荘でのティータイム、シャドルー基地を壊滅させるほどの威力を持つレーザー衛星「まんじゅしゃげ」の所有、「神月スペースコロニー計画」の推進など、同じく富豪であるマスターズ家と比較しても、そのスケールの大きさが際立っています。

神月流格闘術とゲームシステム



ゲーム作品において、かりんは自身が体得したあらゆる武術・格闘技を統合・再構築した架空の武術「神月流格闘術」を駆使して戦います。その戦闘スタイルは変幻自在な連係攻撃が特徴で、特定の技から様々な派生技に繋げることで相手を翻弄します。また、相手の攻撃を受け止めて反撃するカウンター技や投げ技、そして全キャラクター中でもトップクラスの移動速度も持ち合わせており、あらゆる距離や状況に対応できるオールラウンドな能力を誇ります。

ストリートファイターV』で導入されたVシステムでは、炎を纏った強力な連撃や多彩な派生を可能にする「紅蓮の型(VトリガーI)」、当て身技「夜叉返し」を使用可能にする「天破の型(VトリガーII)」など、かりんのトリッキーかつラッシュ力の高い戦いを更に強化するシステムが実装されています。

関係者



かりんを取り巻く個性的な人々も作品に彩りを添えています。

柴崎(しばざき/しばさき): かりんに長年仕える有能な執事。常にかりんの傍らで彼女の行動をサポートし、時として戦闘能力の一端も見せます。
石崎(いしざき): ゲームオリジナルキャラクターの世話役。間が抜けた一面もありますが、料理が得意でバーディーとも仲が良いです。
神月大厳十郎(かんづき だいげんじゅうろう): かりんの父であり、前当主。厳格な人物ですが、『ストV』ではかりんによって当主の座を追われ、彼女との確執が描かれています。
雛菊(ひなぎく): 『ストV』から登場した神月家に仕えるお庭番のくノ一。情報伝達や屋敷の警備などを担います。

その他



神月財閥の財力については、『ストリートファイターZERO3』の開発スタッフから「人工衛星を持っていたりするので、神月財閥のほうに分がある」というコメントが出されており、マスターズ財閥以上の財力を持つことが示唆されています。

このように、神月かりんは単なる財閥令嬢にとどまらず、類稀なる実力、独特の価値観、そして漫画からゲームへの逆輸入という異色の経歴を持つ、『ストリートファイター』シリーズにおける重要なキャラクターの一人と言えるでしょう。

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