神殿奉献 (マンテーニャ)

『神殿奉献』（伊: Presentazione al Tempio）は、ルネサンス期を代表する画家アンドレア・マンテーニャが1455年頃に制作したテンペラ画です。現在はドイツのベルリン絵画館に所蔵されています。本作は、マンテーニャがパドヴァに滞在していた青年時代に描かれたと考えられていますが、正確な制作年は特定されていません。一般的には、1453年（マンテーニャが画家のヤコポ・ベッリーニの娘ニコロシアと結婚した年）から1460年（マンテーニャがマントヴァへ移る年）の間と推定されています。

絵画の舞台は、大理石でできた枠の中に設定されています。幼子イエス・キリストが座るクッションは、大理石の台座から少しはみ出しているのが特徴的です。前景には聖母マリアが幼子イエスを抱き、その傍らには髭を生やした司祭が描かれています。中央の影に隠れるように、光輪をまとった聖ヨセフがいます。背景には、光輪のない二人の人物が描かれており、右端の影から浮かび上がる男性の顔は、マンテーニャ自身の自画像であると考えられています。また、左端にいる女性は、マンテーニャの妻ニコロシアの肖像であるとされています。もしそうであれば、この作品はマンテーニャの結婚と密接な関係があると考えられます。

マンテーニャとニコロシアの結婚は、義兄弟となったジョヴァンニ・ベッリーニとの間に、芸術的な相互影響をもたらしました。マンテーニャの『ゲツセマネの祈り』とジョヴァンニ・ベッリーニの同主題の作品は、その好例です。さらに、『神殿奉献』という主題自体も、ジョヴァンニ・ベッリーニによって描かれています。これらの作品を通じて、二人の画家の芸術的な交流が窺えます。

参考文献として、以下の書籍が挙げられます。
La Grande Storia dell'Arte - Il Quattrocento, Il Sole 24 Ore, 2005
Kleiner, Frank S. Gardner's Art Through the Ages, 13th Edition, 2008
* Manca, Joseph. Andrea Mantegna and the Italian Renaissance, 2006

マンテーニャの『神殿奉献』は、ルネサンス美術における重要な作品の一つであり、画家の個人的な生活や芸術的な交流が反映された興味深い作品です。

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