神沼克伊

神沼克伊：固体地球物理学と極地研究の先駆者

神沼克伊氏は、1937年生まれの日本の固体地球物理学者、極地研究家です。国立極地研究所と総合研究大学院大学の名誉教授を務め、地震、火山、そして極地研究の分野で多岐にわたる貢献をされています。

生い立ちと研究への道

神奈川県川崎市で生まれ、神奈川県立湘南高等学校、東京理科大学理学部物理学科を経て、東京大学大学院理学研究科博士課程を修了しました。その後、東京大学地震研究所に入所し、地震や火山噴火の予知に関する研究に携わりました。地震被災地や火山への現地調査、指導、執筆活動を通じて、その知見を社会に還元しています。

南極研究への情熱

1966年には第八次南極観測隊に参加し、1974年からは国立極地研究所で南極研究の第一人者として活躍されました。2度の越冬を含む15回もの南極遠征を経験し、南極の地震活動に関する深い研究を行っています。アメリカやニュージーランドとの共同研究も積極的に行い、その功績から南極の2つの地形に「カミヌマ」の名が冠されています。

地震・火山研究と災害への警鐘

神沼氏は、地震、火山、津波などの災害に関しても深い知識を持ち、テレビ出演などを通じて一般の人々にも分かりやすい解説を行っています。特に、2011年のクライストチャーチ地震の際には、110年前の地震で大聖堂の尖塔が折れたという歴史的事実を指摘しました。

また、霧島山の活動についても早くから警鐘を鳴らしており、1973年には「霧島山は桜島の活動後約100年で活動を始める」という論文を発表しました。その後の2011年の新燃岳の噴火で、この予測の正確性が証明されることとなりました。

豊富な著書と社会への貢献

神沼氏は、南極に関する著書を20冊以上出版しており、その数は世界一とも言われています。これらの著書を通じて、南極の魅力や科学的な知見を広く社会に伝えています。また、地震や火山に関する著書も多数あり、一般の人々が災害に備えるための知識を提供しています。著書には以下のようなものがあります。

『南極・火山・地震』(1977)
『氷の大陸南極』(1978)
『25年目の南極』(1983)
『南極情報101』(1983)
『南極の現場から』(1985)
『地球のなかをのぞく』(1988)
『南極100年 地球上のパラダイスをめざして』(1994)
『南極の四季』(1994)
『極域科学への招待』(1996)
『地震学者の個人的な地震対策 治にいて乱を忘れずの法』(1999)
『南極へ行きませんか』(2001)
『地震の教室』(2003)
『旅する南極大陸 〈体感的〉究極ガイドブック』(2007)
『地球環境を映す鏡南極の科学 氷に覆われた大陸のすべて』(2009)
『みんなが知りたい南極・北極の疑問50』(2010)
『次の超巨大地震はどこか?』(2011)
『首都圏の地震と神奈川』(2012)
『次の首都圏巨大地震を読み解く M9シンドロームのクスリとは?』(2013)
* 『白い大陸への挑戦 日本南極観測隊の60年』(2015)

まとめ

神沼克伊氏は、その長年にわたる研究活動と社会への貢献を通じて、固体地球物理学と極地研究の発展に大きく貢献されました。その知識と経験は、私たちが地球と自然災害についてより深く理解するための重要な手がかりとなっています。

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