神田

神田とは

神田（しんでん、かんだ）は、日本において神社の祭祀や運営に必要な費用を賄うための土地、いわゆる領田と呼ばれるものを指します。この領田は、時には御戸代（みとしろ）や御神田（おみた、おんた）、大御田（おおみた）とも称されます。

神田の歴史

神田の起源は明言されていないものの、古代の大化（646年頃）以前からその存在が考えられています。7世紀半ばに律令制が整えられると、田地は口分田などの班田収授の体系に組み込まれていく中、神田と仏教寺院の運営用の寺田は、その対象外とされました。これは、神田や寺田が神社や寺院のものではなく、神や仏に帰属するものであると理解されていたためです。したがって、これらの土地は売買が禁止されていました。

8世紀に成立した大宝律令や養老律令には、神祇令や田令において神田に関する規定が盛り込まれました。この規定によれば、神田を耕作するためには、神に帰属する戸、すなわち神戸が設定され、そこに課される租庸調は神社の建設や運営に使うものとされ、さらに班田収授の対象から除外されることが定められました。結果として、神田は不輸租田、すなわち免税の田地として位置づけられたのです。

この不輸租田としての考え方は、平安時代における荘園の増加につながります。9世紀から10世紀にかけて律令制が徐々に崩れていった後も、神田には不輸の権利が認められました。このため、有力な農民や開発領主は、自身の田地を有力な神社や寺院に寄贈することで、免税の権利を得ようとしました。その結果、有力な寺社には荘園の寄進が集中することとなりました。

さらに、11世紀から13世紀頃にかけて荘園公領制が成立すると、神田は荘園や国衙領の一部として位置づけられました。神田にかかる年貢や公事は、領主の利益にはならず、神社の祭祀や祭礼のための経費に充てられました。この慣行は長い間継続され、今日でも多くの神社で神に供えるための田、すなわち神田や御神田が存在し続けています。

地名や名字としての神田

神田という地名は、日本各地に見られ、上述の領田に由来しています。著名な例として、東京都千代田区の神田や、唐津市の神田（こうだ）などがあります。また、日本の名字（姓）としての「神田」も、同様にこの神田に由来しています。

関連項目

• - 寺田
• - 佃
• - 神戸（民戸）
• - 班田収授法
• - 荘園
• - イセヒカリ

神田は、日本の歴史や文化に深く根ざした重要な概念であり、現代においてもその存在は多くの神社に見られます。

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