神田より子

神田より子：日本の民俗・文化人類学を牽引する研究者

神田より子氏(1947年-)は、日本の民俗学者・文化人類学者として、日本の民俗芸能、特に修験道と女性の関わりを深く探究し続けてきた第一人者です。埼玉県さいたま市（旧大宮市）出身で、慶應義塾大学文学部卒業後、同大学院社会学研究科博士課程を修了。池田彌三郎氏、宮家準氏といった著名な研究者のもとで研鑽を積み、1999年には慶應義塾大学より博士（社会学）の学位を取得しました。

研究テーマと活動

神田氏の研究は、民俗芸能と修験道の宗教性を軸に展開されており、とりわけ女性と芸能、宗教の複雑な関係性を解明することに焦点を当てています。フィールドワークを重視し、日本各地の神社、山岳地帯などを訪れ、長年に渡る綿密な調査によって貴重なデータと知見を蓄積してきました。その研究対象は、神楽や歌舞伎などの伝統芸能から、修験道の山岳信仰まで多岐に渡り、常に新たな視点を提示することで日本の民俗文化研究に貢献しています。

敬和学園大学での教育活動と功績

1992年に敬和学園大学助教授に就任し、その後教授に昇任。人文学部国際文化学科で教鞭をとり、後進の育成にも尽力しました。2018年に敬和学園大学を退官し、名誉教授となりました。長年に渡る教育活動を通じて、多くの学生に民俗学の魅力を伝え、日本の民俗文化研究の発展に貢献しました。

出版物

神田氏は数多くの著書、編著書を発表しており、その研究成果は高く評価されています。単著として、『神子の家の女たち』（東京堂出版）、『神子と修験の宗教民俗学的研究』（岩田書院）、『鳥海山修験 山麓の生活と信仰』（岩田書院）などがあります。これらの著作は、詳細な調査に基づいた緻密な分析と、平易な文章で書かれており、専門家のみならず一般読者にも広く読まれています。また、編著書として、『陸中沿岸地方の廻り神楽報告書』（宮古市教育委員会）、『黒森歌舞伎 資料編・研究編』（酒田市教育委員会）、『鳥海山麓遊佐の民俗』（遊佐町教育委員会）、『南部切田神楽調査報告書』（十和田市教育委員会）など、地域に密着した研究成果も多数発表しています。さらに、『宮古市史 民俗編』（宮古市教育委員会）、『日本民俗大辞典』『精選日本民俗辞典』『民俗小事典 神事と芸能』（吉川弘文館）など、大規模な共編著にも携わっており、日本の民俗学研究に多大な貢献をしています。

受賞歴

神田氏の研究業績は高く評価され、2001年には日本山岳修験学会賞を受賞しました。これは、長年にわたる修験道研究の成果と、その学問的貢献を称えたものです。

まとめ

神田より子氏は、フィールドワークを基盤とした緻密な調査と分析、そして、分かりやすい文章表現で知られる、日本の民俗学を代表する研究者の一人です。民俗芸能と修験道研究、特に女性と宗教の関わりにおける先駆的な研究は、日本の民俗文化理解を深める上で大きな役割を果たしています。今後も、その知見と経験を活かし、日本の民俗文化研究の発展に貢献していくことが期待されています。

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