神田ろ山

神田ろ山

神田ろ山（かんだ ろざん）は、講談師の名跡です。

初代

本名: 小林寅吉（小林成光説もあります）
生年月日: 1890年（明治23年）4月3日
没年月日: 1946年（昭和21年）6月4日
享年: 56歳

東京浅草蔵前の葬儀屋の子として生まれました。1907年、3代目神田伯山に入門し、蘭山を名乗った後、1919年頃にろ山と改名しました。1928年頃、師の十八番であった「清水次郎長伝」を浪曲師の2代目広沢虎造に教えたために破門となります。しかし、1931年には破門を解かれ、初代神田山陽、5代目神田伯龍とともに、伯山門下の三羽烏と呼ばれました。わらわし隊にも参加しています。

3代目神田伯山の芸風と演題をもっとも多く継承した人物とされ、師が得意とした「清水次郎長」を師と同等に演じることで有名でした。ただし、伯山自身から直接指導を受けたのは「夕立勘五郎」のみで、他は聞き覚えであったと伝えられています。

2代目

本名: 岩田清司
生年月日: 1908年（明治41年）8月13日
没年月日: 1984年（昭和59年）1月1日

東京浅草に生まれました。1925年、初代ろ山に入門して晴山、1937年、桜山に改名しました。1946年、初代ろ山の死去に伴い2代目ろ山を襲名しました。1980年に病に倒れ、神田知山（3代目ろ山）に名跡を譲り、寿山を襲名しました。

1970年には講談協会理事、1973年には講談組合委員を務めました。

侠客物を得意とし、「新蔵兄弟」は2代目以外に演者がいませんでした。松本清張の小説を講談に仕立てる試みも行いましたが、評判は芳しくありませんでした。

3代目

本名: 河野利雄
生年月日: 1919年（大正8年）1月16日
没年月日: 1989年（平成元年）10月9日

埼玉県鳩ヶ谷に生まれました。16歳と17歳の時に父母を亡くしています。1937年、初代神田ろ山に入門し、「ち山」の名を与えられますが、間違えやすいため「知山」と改名しました。1940年、戦争で負傷して帰国し、「智山」と改名して復帰。戦後、再び「知山」に改名しました。その後、司会業に転じますが、1972年に復帰。1980年、3代目「ろ山」を襲名しました。

1986年、文化庁芸術祭賞を受賞しています。

侠客物や世話物、文芸講談を得意とし、人情表現に優れていました。落語家の4代目柳亭痴楽の十八番である「綴り方狂室」は、ろ山の作とされています。

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