神習教

神習教（しんしゅうきょう）について

神習教は、岡山県真庭市蒜山に由来を持つ神道教派で、1857年に神道家の芳村正秉によって設立されました。現在、教庁は東京都世田谷区に置かれ、参拝に使用されるのが桜神宮です。神習教は、当時の神社や神道の在り様に疑問を呈し、本来の神道を再興することを目的としており、古代から受け継がれてきた神道の価値観を教義の中核としています。

主祭神には天御中主神や高皇産霊神、伊弉諾尊などの神々が含まれ、相殿神として国常立尊や大国主命なども祀られています。古事記や日本書紀などの古典が教典とされ、信者はこれらの神々を通じて神道の教えを学ぶことができます。

教派の形成と歴史

芳村正秉は大中臣の子孫で、安政の大獄の前に神道の伝統を守り続けることを使命と自覚しました。彼は神祇官（後の教部省）に奉職し、伊勢神宮で神職を務めながら、実際の神道の運営に深く関与しました。明治天皇とも数回面会し、時に神託を受けた経験から、神社の祭りや儀式を広める活動を展開しました。

教名には「神習い」という教えがあり、正秉は神道の教えをさらに深めるために、全国の霊山で修行を行いました。1880年には「神習教会」を設立し、次第に承認を受けることで教派としての地位を固め、「神道神習派」と名乗るようになります。1882年に正式に「神習教」と改称されました。これは、伊勢神宮で受けた神託に基づくものであり、教えを「かみながら」とすることが重要とされています。

教典と信仰の広がり

神習教の教えていることは古事記や日本書紀、その他の教典から成り立っています。教義が広がる中で、特に注目すべきはパーシヴァル・ローウェルの訪問です。彼は神習教を紹介された際、正秉から教えを受け、伊勢神宮において外国人として初めて太々神楽の奉納を行ったという重要な出来事があります。このように、神習教は国内だけでなく海外でも注目を浴び、数百人の外国人がその儀式に参加することもありました。

現在の教派

1915年に正秉が亡くなると、その後を孫の忠明が継承し、教派を現在の形へと発展させました。忠明は正秉からの神託を基に教庁を世田谷区に移転し、現代において存続する神習教の基礎を築きました。1985年には忠明が85歳で亡くなり、その後、孫の正德が教主として教理の修正と発展を引き継いでいます。

地域住民に愛される「桜神宮」は、神習教の教義が受け継がれた実例であり、多くの信者から崇敬されています。神習教は今も日本の神道の中で独自の地位を築いており、その教義や儀式は新しい信者に受け入れられ続けています。

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