蒜山

蒜山：中国山地を彩る雄大な火山と高原

岡山県真庭市北部、鳥取県倉吉市南部、日野郡江府町北東部にまたがる蒜山は、雄大な自然と多様な魅力を併せ持つ観光地です。標高1,000メートルを超える峰々が連なり、その中心を成す中蒜山、上蒜山、下蒜山の三峰は「蒜山三座」として知られています。蒜山三座と周辺の山々、そして広大な蒜山高原の一部は、大山隠岐国立公園に指定され、その自然環境の貴重さが広く認められています。

蒜山地域の自然と観光

蒜山地域は、象山、擬宝珠山、二俣山、皆ヶ山など複数の峰から構成される成層[[火山]]群です。約100万年前から40万年前の火山活動によって形成され、北隣の大山火山と地質学的にも繋がりを持つとされています。南側には標高500～600メートルの蒜山高原が広がり、日本最大のジャージー牛の飼育地として知られています。

この高原は、雄大な自然を満喫できるレクリエーションの拠点となっています。整備されたハイキングコースでは、変化に富んだ景観を楽しみながら登山を楽しむことができ、キャンプ場やサイクリングロードも整備されており、幅広い年齢層の観光客が自然の中でアクティブに過ごせます。蒜山は岡山県内では倉敷美観地区、後楽園、岡山城に次ぐ人気の観光地であり、年間約250万人の観光客が訪れています。近隣の大山とのセットでの観光も盛んで、蒜山大山スカイラインなど、両地を結ぶ観光道路も整備されています。

登山とハイキングコース

蒜山三座は登山客にも人気が高く、三座を繋ぐ縦走路など、様々な登山コースが整備されています。ただし、この地域はツキノワグマの生息地でもあるため、登山時は注意が必要です。

上蒜山への登山道は上蒜山スキー場跡地（スキー場は2016年に閉鎖）の駐車場から始まります。駐車場は広く、トイレも完備されています。整備された杉林や松林の中を登り、槍ケ峰からは素晴らしい展望が開けます。中蒜山への登山は塩釜の冷泉から、下蒜山への登山は犬挟峠から登ります。それぞれの登山道には、鎖やロープが設置された急な箇所もあり、登山経験のある方におすすめです。下蒜山からは360度の展望が楽しめ、大山や日本海まで見渡せます。

蒜山周辺には、蛇ケ乢湿原や鏡ヶ成湿原など、自然豊かな湿原もあり、ハイキングコースも整備されています。蛇ケ乢湿原は、岡山市へと流れる旭川の源流でもあります。

火山活動の歴史と地質

蒜山火山群は約100万年前から約40万年前の更新世に、デイサイト～安山岩質の溶岩が噴出して形成されました。下蒜山火山が最も古い火山と考えられており、約91万年前の火山活動の痕跡が確認されています。その後、二俣山、中蒜山、上蒜山と順次火山活動が起こり、現在の地形が形成されました。現在では火山活動は停止しており、長い時間をかけて侵食が進み、開析谷や火山麓扇状地などが形成されています。

大山隠岐国立公園

蒜山三座、その山麓の一部、三平山、朝鍋鷲ヶ山、郷原地区などは、1963年に大山国立公園に編入され、大山隠岐国立公園の一部となりました。蒜山三座、皆ヶ山、鬼女台の山麓部の一部は、国立公園地域の第一種特別地域に指定されています。2015年9月からは「国立公園 蒜山」の愛称も用いられるようになり、その自然保護と観光開発のバランスが図られています。

蒜山は、豊かな自然と多様なアクティビティが楽しめる、魅力あふれる観光地です。雄大な火山群と広大な高原、そして登山やハイキングを楽しめるコースが、多くの人々を惹きつけています。

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