神苑会

財団法人神苑会の概要

財団法人神苑会（しんえんかい）は、日本の伊勢神宮を取り囲む地域の環境保全を目的として、1886年に設立された団体です。この組織は、当時の影響力のある人物が連携し、地域の美観と清らかさを維持するために活動しました。特に、神宮を訪れる参拝者や貴人たちが多く集まる中で、神宮周囲の火災防止や土地の買収を行い、その地域の環境を守る重要な役割を果たしました。

目的と設立背景

神苑会の設立は、伊勢神宮周辺で発生した大火に端を発しています。この火災は伊勢神宮に延焼する危険性をはらんでおり、そのために有栖川宮熾仁親王を総裁に、吉井友実を会頭とし、地元の宿屋「備前屋」の太田小三郎を初めとする関係者が集まりました。彼らは神宮神苑の美観と清潔さを保つため、地域の土地を購入し、整備に取り組むことを決定しました。

主要な事業と施設

賓日館の設立

1887年に、神宮に参拝する賓客が休憩するための宿泊施設を整備するため「賓日館」が建設されました。この賓日館は、歴代の皇族や政治、文化界の要人が宿泊する場所となり、その後、近隣の二見館へ払い下げられ、貴人たちの宿泊所として1999年まで利用されましたが、2003年には一般公開されることとなりました。

神宮農業館の設立

1891年には、日本で初めての産業博物館ともいえる神宮農業館が外宮の前に設立されました。この施設は、伊勢での農業に関する知識や技術を紹介し、多くの人々に親しまれてきました。1905年には倉田山に移築され、その後、神宮に奉納されましたが、後に解体され、1996年に復元されています。

神宮徴古館

1909年には、ヴェルサイユ宮殿を模した前庭を備えた神宮徴古館が完成しました。この施設も1911年に神宮へ奉納されましたが、第二次世界大戦中の宇治山田空襲で焼失。その後、1953年に改修され再建されました。

神宮文庫の設立

さらに、1906年には神宮司庁に所蔵されていた図書を保管するための神宮文庫が宇治館町に設立されました。しかし、蔵書数の増加に伴い、倉田山に移転し、書籍の管理は神宮皇學館（現在の皇學館大学）に委託されました。

解散とその後

神苑会は1911年に解散し、その活動を終えましたが、当初の目的であった地域の保全や文化施設の設立は、その後の地域振興や観光にも繋がっていきました。神苑会の取り組みは、今日でも伊勢神宮周辺の文化や環境保全に重要な影響を与えています。

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