神谷百子

神谷 百子（かみや ももこ）

1965年2月15日、国際政治学者である父・神谷不二と、法学者の母・神谷笑子（えみこ）の家庭に奈良県で生を受けた神谷百子は、日本を代表するマリンバ奏者の一人です。兄は国際政治学者の神谷万丈、伯母に宇宙物理学者の神谷美子という、学術分野で活躍する家族を持つ環境で育ちました。

幼少期に神奈川県横浜市へ移り住み、慶應義塾幼稚舎に通っていた7歳の頃から、マリンバの指導を菅原淳氏に仰ぎました。慶應義塾中等部在学中には、父親の仕事に伴い渡米し、およそ1年半にわたりアメリカ合衆国で生活しました。帰国後、慶應義塾女子高等学校を経て、東京藝術大学器楽科へ進学。同大学において、開学以来初めてマリンバを専攻する受験生として合格を果たしたことは、特筆すべき出来事でした。

さらに音楽の道を深めるため、世界の最高峰とされるジュリアード音楽院へと留学の道を選び、故エルデン・ベイリー氏に師事しました。ジュリアード音楽院を卒業するまでの在学期間中、神谷氏は名誉奨学生として名を連ね、ナウムバーグ賞やソウル・グッドマン賞といった栄誉ある賞に輝くなど、その才能は早くから国際的に認められていました。

帰国後、不慮の交通事故により左手に重傷を負うという苦難に見舞われましたが、見事に回復。1990年にサントリーホールで鮮烈なデビューを飾ると、1995年には第3回ルクセンブルク国際打楽器コンクール・ソロ・マリンバ部門で優勝を勝ち取りました。これを機に、国内外で精力的な演奏活動を展開するようになります。2005年度には川崎市アゼリア輝賞を受賞するなど、その功績は高く評価されています。

これまでに世界19か国以上での公演実績を持ち、特に2004年にアメリカで開催された世界最大級の打楽器フェスティバル、PASICにメインゲストの一人として招かれた際には、開催したリサイタルで1500人を超える聴衆から熱狂的なスタンディング・オベーションを受けるなど、大成功を収めました。また、2008年にはニューヨークのカーネギーホール内にあるザンケルホールでの演奏が大きな反響を呼び、その芸術性が高く評価されています。

演奏活動に加え、神谷氏は教育者としても重要な役割を担っています。ポーランド、ベルギー、チアパス、パリ、ルクセンブルク、リンツ、ザルツブルク、TROMP、フェルモ、日本管打楽器、KOBEなど、国内外の主要な音楽コンクールで審査員を務めるほか、ザルツブルク夏期国際音楽アカデミーを含む国内外の数多くの音楽セミナーで講師として後進の指導にもあたっています。現在、洗足学園音楽大学教授を務めるほか、東京音楽大学やエリザベト音楽大学の客員教授、国立音楽大学の講師としても教鞭を執り、ヨーロッパ、アジア、北米、南米の多くの音楽大学からもマスタークラスの講師として招かれ、世界中の学生にその知識と技術を伝えています。

また、数々の著名なオーケストラとの共演も積極的に行っており、読売日本交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、東京都交響楽団といった国内オーケストラの他、ルクセンブルク放送交響楽団、北京交響楽団、リトアニア室内管弦楽団、ブカレスト放送交響楽団、国立台湾交響楽団、国立タイ交響楽団など、海外の著名オーケストラともコンチェルトを協演し、その演奏は高い評価を得ています。さらに、作曲家である久石譲氏の全国コンサートツアーには過去4度にわたり出演した実績を持ちます。

メディア活動としては、2000年度にNHK-FMの番組「おしゃべりクラシック」でパーソナリティーを務めた経験があります。録音活動も活発で、ユニバーサルミュージック（フィリップスレーベル）からは、「マリンバ・カクテル」（ステレオ誌年間最優秀録音賞を受賞）、「アラベスク」、「マリンバ・ジャパネスク」、「エイジアン・シーン」、「マリンバ・ヴィルトゥオーソ」といった5枚のソロCDを発表しており、その他にも国内外で多数の録音を行っています。2011年にはClassic Concertレーベルより最新CD「Pieces of Peace」をリリースしました。

所属事務所はKAJIMOTO。YAMAHAやResta Percussionsのアーティストとしても活動しており、その卓越した演奏技術と豊かな音楽性で、世界のマリンバ界を牽引し続けています。

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