神道無念流

神道無念流の概要

神道無念流（しんとうむねんりゅう）は、日本の剣術の流派で、1751年から1764年の間に福井兵右衛門嘉平によって創設されました。主に剣術を中心としながら、「立居合」という技術も具えている点が特徴ですが、実際に立居合を学ぶ人口は少なく、免許皆伝を受けた者の多くは剣術に専念しました。

創設者とその経歴

創設者の福井嘉平は、現在の栃木県下都賀郡に生まれました。彼はまず新神陰一円流を師事し、さらに回国修業を経て信州の飯縄山で剣法の学びを深めました。そこで神秘的な老人と出会い、7日間にわたり剣法の根幹を教わるという体験をしました。下山した後、彼は学んだ技術を基に立居合十二剣を編纂し、神道無念流を創設したと言われています。

流派の発展

神道無念流は、彼の弟子である戸賀崎暉芳の時代に入門者が急増し、特に「天明の仇討」でその名が広まりました。以降、関東以外の地域にも広まり、第3代の岡田吉利がこの流派の名声を高め、幕末には竹刀を用いた剣術流派の中で直心影流に次いで広まりました。明治時代に入っても流派は大日本武徳会の影響を受けつつ、現代剣道の発展に寄与しました。

伝承の仕組み

神道無念流は、宗家制ではなく道統制を採っています。これは流派における技術の伝承が、特定の家系に属さない多くの免許者によって行われていることを意味します。しかし、太平洋戦争後には、それぞれの派の伝承者が自らを「宗家」を名乗ることがあり、このことで混乱が生じ、今なお解決が求められています。

現在の系統

戸賀崎胤芳の系統

二代目戸賀崎暉芳の子、胤芳は、道場を開くことで流派を発展させ、江戸の裏二番町に3000人もの門弟を抱えるまでになりました。その後もこの系統は埼玉県を中心に継承され、近年では、第八代当主の正道が研究会を立ち上げている。

岡田十松の系統

岡田吉利の「撃剣館」は、彼の弟子たちにも大きな影響を与えました。特に、齋藤弥九郎は練兵館を開講し、数々の流派との交流を持ちながら、剣術界の著名な存在となりました。

八戸神道無念流

八戸地域でも、佐藤萬次郎が岡田の教えを継承し、道場を構えました。ここでも多くの門弟が育てられ、神道無念流は地域に根ざした伝承が行われています。

大村藩伝

大村藩の齋藤歓之助は藩の正式な剣術流派として神道無念流を位置づけ、地域の剣術教育に貢献しました。

技法と特徴

神道無念流の剣術は、特に力強い打撃を重視し、「力の剣法」とも称されます。これにより、他流派よりも防具は頑丈に作られていました。技術内容には、真を打つことを重視し、練習では軽い打撃を許さない厳格さが求められます。一方、居合では立居合の技が中心で、座った状態で行う技は存在しません。

現代においては、神道無念流の技術や理念が多くの流派に影響を与え、特に若い世代の武道家たちにも受け継がれています。この流派の伝承は、今後も日本の武道界において重要な役割を担い続けることでしょう。

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