神郡

神郡：日本古代の宗教的行政単位

神郡（しんぐん）は、古代日本の律令制において特定の神社に付属していた地域で、神社の所領や神域を構成していました。これらの神郡は、コストとして神社の修理や祭事に充てられ、神社と地域社会が密接に関わっていたことが特徴です。

神郡の起源と成立

神郡に関する最古の文献は持統天皇6年、すなわち692年に見られますが、『神宮雑例集』や『常陸国風土記』では、大化5年（649年）における多気郡、度会郡、香島郡（現在の鹿島郡）の設立に関する記述があり、神郡の形成は645年から686年の間に進んだと考えられています。特に『令集解』によれば、養老7年（723年）時点で「八神郡」として知られる8つの郡が存在し、927年に成立した『延喜式』でもこれらの神郡が記載されています。

伊勢神郡の概要

伊勢には13の郡が存在し、その中の8郡が伊勢神宮に属する神郡、いわゆる「神八郡」として定められました。この8郡には、度会郡、多気郡、飯野郡、飯高郡、安濃郡、三重郡、朝明郡、員弁郡が含まれています。特に度会郡と多気郡は神宮に深く寄進され、その後も神宮の影響力が強く保持されていました。

行政機構と郡司

神郡においては、各神社の奉仕者である氏族が神宮司と連携し、郡の運営に関与していました。他の郡と異なり、養老年間においては郡司職にも郡司の氏族からの連任が認められ、この制度により地域の伝統的な豪族が郡の支配を担いました。

神郡の変遷

中世にさしかかると、神宮の影響力は次第に薄れていきました。南北朝時代から室町時代にかけて、実質的には神三郡における支配が中心となり、他の郡では神宮の権限が縮小していきました。特に伊勢北畠氏の台頭により、神宮の支配力は一層の形骸化を迎えます。

参考文献と資料

神郡に関する詳しい情報や歴史は、「国史大辞典」や「日本古代史大辞典」などの書籍に記載されています。また、オンラインの歴史サイトや、国立国会図書館のデジタルコレクションを参照することで、より詳細な情報を得ることができます。古代の神社の運営や地域社会との関わりを理解するために、神郡の研究は重要なテーマとなっています。

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