神野寺 (君津市)

神野寺の紹介

神野寺（じんやじ）は、千葉県君津市の鹿野山に位置し、真言宗智山派に属する寺院です。この寺の本尊は薬師如来と軍荼利明王であり、地元の信仰の中心として多くの人々に親しまれています。

由緒

神野寺の創建は古く、伝承によると推古天皇の時代である598年に聖徳太子によって設立されたとされています。これは関東地方における最古の寺院とされており、歴史的に重要な存在です。また、永正年間（1504年〜1521年）には真言宗の僧弘範によって中興され、現在の姿が一部形作られたと伝えられています。

虎脱走事件

1979年の8月2日、神野寺の境内に併設されていた動物園から3頭のベンガルトラが脱走するという事件が発生しました。このとき、1頭は早々に捕獲されたものの、残る2頭（1歳のオスとメス）は行方不明となりました。警察や消防団、猟友会など約500人が参加した捜索活動が行われ、周辺住民には外出禁止令が出される異例の事態となりました。

その後、メスのトラは4日の朝に見つかり射殺されましたが、この決定は多くの動物愛護団体から反発を受け、寺の住職も「射殺しなくてもよかったのでは」と疑問を呈しました。この発言を受けて、捜索活動は一時中断されました。

オスのトラは27日間にわたる逃亡を続けた後、近隣住民の飼い犬が襲われる事件が発生したことから、特別な捜索隊が結成され、最終的に射殺されました。この事件を通じて、神野寺は猛獣の飼育を禁止し、さらには自治体も猛獣の飼育に関する条例の制定を進めることになりました。

災害

さらに、2019年9月には、令和元年房総半島台風の影響で神野寺は大きな被害を受けました。境内の「表門」は全壊し、「旧護摩堂」や「奥の院」にも被害が出る結果となりましたが、その後、保存修理工事が行われ、2021年12月31日に復旧が完了しました。

文化財

神野寺は多くの文化財を有しており、重要文化財として指定されている「表門」は、室町時代の建築で、特別保護建造物に指定された後、重要文化財に該当します。また、本堂も千葉県指定の有形文化財として認定されています。そして、鹿野山の大桑は天然記念物にも指定されています。

所在地

神野寺は千葉県君津市鹿野山324-1に位置しています。訪れる人々に歴史と自然の美しさを楽しませ、神秘的な雰囲気を醸し出すこの寺は、地域に根ざした文化と精神的な拠り所を提供し続けています。

様々な出来事を経てなお、神野寺はその歴史を重ね、新たな信仰の場となっています。

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