神風 (初代神風型駆逐艦)

神風（かみかぜ） (初代)

神風（かみかぜ）は、大日本帝国海軍が運用した初期の駆逐艦の一つであり、明治期に建造された初代神風型駆逐艦のネームシップ、すなわち一番艦としてその名が与えられました。

後に就役した二代目の神風型駆逐艦にも同名の「神風」が存在するため、初代である本艦は区別の目的で「神風 (初代)」や「神風I」などと表記されることが一般的です。

艦歴

本艦の建造は、明治37年（1904年）に神奈川県の横須賀海軍工廠にて開始されました。正確な起工日については、7月20日または8月20日と複数の説があります。翌明治38年（1905年）2月15日には、製造番号第1号として正式に「神風」と命名されました。

同年7月15日に無事進水式を終え、そのわずか6日後の7月21日には、同型艦である潮、初霜に続いて神風型駆逐艦の3番艦として、駆逐艦籍に類別されました。そして、同年8月16日には竣工を迎え、帝国海軍の一員として就役を開始しました。

現役時代には、日本の海軍力の内外でのプレゼンスを示す任務に従事しました。特に、第一次世界大戦の期間中には、南方の防衛拠点であるシンガポール方面の警備任務にあたりました。また、第一次世界大戦終結後のシベリア出兵においては、日本の権益保護と沿岸警備のため、沿海州沿岸での活動を行った記録が残されています。

長い間の運用を経て、本艦は艦齢を重ねました。大正13年（1924年）12月1日には、駆逐艦としての主要な役割を終え、掃海艇に編入され、艦籍も変更されました。掃海艇としても数年間運用された後、昭和3年（1928年）4月1日をもって正式に除籍されました。

除籍後の同年7月6日には、「廃駆逐艦第8号」という仮称が付与されました。海軍による詳細な調査の結果、本艦の老朽化が著しく進んでおり、これ以上の運用は困難であると判断されました。その結果、同年10月12日には廃船が認可され、神風 (初代)の波乱に富んだ生涯は静かに幕を閉じました。

歴代指揮官

神風 (初代)の艦長および掃海艇長を務めた将校は以下の通りです。

駆逐艦長

横尾 義達 少佐：1905年12月12日 - 1906年1月25日
（兼）海老原 啓一 少佐：1906年1月25日 - 8月30日
金崎 彦四郎 大尉：1906年8月30日 - 1908年2月1日
犬山 秀一 少佐：1908年2月1日 - 5月15日
堀江 豊雄 大尉：1908年5月15日 - 11月20日
西田 徳次 大尉：1908年11月20日 - 1909年10月15日
園田 般二郎 大尉：1909年10月15日 - 1911年1月23日
原 完二 大尉：1911年1月23日 - 1913年4月1日
杉浦 正雄 大尉：1913年4月1日 - 1914年12月1日
高橋 善四郎 大尉：不詳 - 1915年6月30日
林 義寛 大尉：1915年6月30日 - 1916年4月4日
御堀 伝造 少佐：1916年4月4日 - 12月1日
色川 武夫 大尉：1916年12月1日 - 1917年12月1日
村田 章一 大尉：1917年12月1日 - 1918年12月1日
岡田 偆一 大尉：1918年12月1日 - 1919年3月10日
高山 忠三 大尉：1919年3月10日 - 12月1日
大島 平 少佐：1919年12月1日 - 1920年12月1日
園 二郎 大尉：1920年12月1日 - 1922年6月10日
福原 一郎 大尉：1922年6月10日 - 1922年11月1日
三塚 俊男 大尉：1922年11月10日 - 1923年5月1日
後藤 伝治郎 大尉：1923年5月1日 - （任期終了日不明）
勝野 実 大尉：1923年12月1日 - 1924年12月1日

掃海艇長

勝野 実 大尉：1924年12月1日 - 1925年8月1日
宮本 定知 大尉：1925年8月1日 - 1926年12月1日

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