祭遵

祭遵について

祭遵（さい じゅん、？- 33年）は後漢時代の著名な武将で、字は弟孫（ていそん）です。彼は潁川郡潁陽県の出身であり、『後漢書』では光武帝の功臣として「雲台二十八将」の中の9位に名を刻まれています。

若き日の祭遵

祭遵は幼少期から経典に親しみ、家庭は裕福でしたが、日々の生活は質素であり、控えめな服装を好みました。彼は母を失った際に、ささやかでも慰霊のための塚を自ら作るなど、深い感受性を持っていました。また、若い頃に地方の小役人に目を付けられた際には、仲間と共にその役人を殺害するという激しい行動に出ました。当初、周囲の者たちは祭遵の温和さを評価していましたが、彼が持つ力と影響力が増すにつれ、多くの者は彼を恐れるようになりました。

光武帝との出会い

劉秀（後の光武帝）が昆陽の戦いの後、潁陽に立ち寄った際、祭遵は県の官吏として彼に進見しました。光武帝は祭遵の容姿や立ち居振る舞いを高く評価し、彼を軍に取り入れることを決めました。その後、祭遵は河北に従って軍市の令に任命されました。光武帝の親族が法を犯した結果、祭遵はその者を処罰しましたが、光武帝は彼の正義感を認め、彼を許しました。このことで、祭遵はさらなる地位を得て、偏将軍として河北を制圧しました。

軍事の功績

建武2年（26年）、祭遵は征虜将軍に任命され、潁陽侯に封じられました。彼はその後、弘農の平定に貢献し、数々の戦闘で武勇を示しました。建武4年には反乱を起こした太守張豊を討ち取り、建武5年には漁陽郡を収めました。また、建武6年には光武帝の命を受けて、敵軍に対して果敢に討伐を行い、建武8年には隗囂に対する戦いで重要な役割を果たしました。彼の戦闘では、矢が口に当たるという危機的な瞬間があったにもかかわらず、祭遵は自己を奮い立たせ、逆に敵を破るという功績を挙げました。

人柄と哲学

祭遵は清廉であり、自己を顧みない奉仕精神を持った人物とされています。彼は兵士たちに与えられた賞を分け与え、自らは私財を持ちませんでした。また、彼の妻も質素な服装を守りました。息子がいない祭遵は兄からの贈り物も断るなど、徹底した質素さを貫きました。彼が亡くなった後、光武帝はそのような忠義の士を失ったことを惜しみ、彼のような献身的な臣下を持つことの難しさを嘆きました。

祭遵は儒者としても知られ、孔子の子孫に爵位を与えるよう進言したり、軍の中にも儒学を重んじる統率を行ったりしました。彼の指揮する軍隊では、儒者を戦士として採用し、厳格な統制をもちつけました。

祭遵は軍の指揮官としての資質だけでなく、人格者としても多くの人々に尊敬されていました。彼の生涯は、忠義と勇気、そして清廉さの象徴として後世に語り継がれています。

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