禁断の刺青(Love at First Sting)
ドイツを代表する
ハードロックバンド、
スコーピオンズが
1984年に世に送り出した9枚目のスタジオ作品。前作『蠍魔宮〜ブラックアウト』で確立した世界的な成功の波に乗り、本作もまたバンドのキャリアにおける最盛期を飾る大ヒットアルバムとなりました。アグレッシブなロックナンバーから感動的なバラードまで、彼らの音楽性の幅広さを示す楽曲群が収められています。
アルバムを彩る名曲たち
本作からは特に二つのシングルが大いに注目を集めました。第一弾シングルとして発表された「ハリケーン」(Rock You Like a Hurricane)は、その強烈なリフとキャッチーなサビで瞬く間にバンドのアンセムとなり、全米チャートで25位にランクイン。この楽曲は、後に映画『ハード・キャンディ』(1999年)や『
リトル★ニッキー』(
2000年)のサウンドトラックとして使用されたほか、人気
音楽ゲーム『
ギターヒーロー3 レジェンド オブ ロック』にも採用されるなど、時代を超えて様々なメディアで親しまれています。
一方、第二弾シングルとなったパワーバラード「
スティル・ラヴィング・ユー」(Still Loving You)は、叙情的なメロディとヴォーカリスト、
クラウス・マイネの魂のこもった歌唱がリスナーの心をとらえ、母国ドイツで14位、アメリカでも64位を記録。特にドイツやヨーロッパ各国ではチャート上位に長く留まり、バンドのバラードの代表曲として世界中で愛され続けています。
これらのヒットシングルに加え、「バッド・ボーイズ・ランニング・ワイルド」(Bad Boys Running Wild)や「
ビッグ・シティ・ナイツ」(Big City Nights)といったエネルギッシュな楽曲も、アルバム全体の魅力を高める重要な要素となっています。
50周年記念盤の登場
2015年12月2日には、バンドのデビュー50周年を祝し、本作のスペシャルエディションがリリースされました。『禁断の刺青(50thアニバーサリー・デラックス・エディション)』と名付けられたこの限定盤は、オリジナルアルバムの新規リマスター音源に加え、貴重な未発表デモ音源や
1984年ニューヨーク、マディソン・スクエア・ガーデンでの迫力あるライヴ音源を収録したCD2枚組仕様。さらに、バンドの歴史を辿るドキュメント映像やライヴ映像を収めたDVDも同梱されており、ファンにとってはアルバムの新たな魅力や制作背景に触れることができる貴重な機会となりました。
後世への影響
『禁断の刺青』に収められた楽曲は、後続の多くのアーティストにも影響を与えています。特に「ハリケーン」は、フィンランドのヘヴィメタルバンド、
シナジーがトリビュートアルバムでカバーし、そのバージョンは後に彼らのデビュー作再発盤にも追加収録されました。「
スティル・ラヴィング・ユー」もまた、
ソナタ・アークティカやラナ・レーンといったアーティストによってカバーされており、これらのカバーバージョンを通じて、世代を超えて楽曲の素晴らしさが広まっています。
参加ミュージシャン
本作のレコーディングに参加したメンバーは以下の通りです。
クラウス・マイネ:ボーカル
ルドルフ・シェンカー:
ギター
マティアス・ヤプス:
ギター
フランシス・ブッホルツ:ベース
* ハーマン・ララベル:ドラムス
この不動のラインナップが、『禁断の刺青』という歴史的名盤を生み出したのです。