福井威夫

福井 威夫について

福井 威夫（ふくい たけお）は、1944年11月28日に広島県で生まれ、東京都で育った日本を代表する自動車技術者であり実業家です。彼は、本田技研工業（ホンダ）の第6代取締役社長として知られ、多くの革新的な技術開発を推進しました。麻布高校を卒業後、早稲田大学理工学部応用化学科に進学します。彼の父親は戦時中、戦艦大和の設計に関わった日本海軍の技術少佐、福井静夫です。

福井は1969年にホンダに入社し、同じ年に入社した同僚には後藤治や森脇基恭がいます。彼のキャリアは、四輪車用エンジンの開発から始まり、社内でアマチュアレーシングチーム「YMSC」を結成してラリー活動などにも積極的に参加しました。1978年には二輪のロードレース世界選手権（WGP）参戦に対応するマシンの開発チームに異動し、NR500やNS500といった名車を生み出しました。その後、1982年には株式会社ホンダ・レーシング（HRC）が設立され、福井はこの新しい組織の取締役に就任しました。

1988年にはホンダ本社の取締役に就任し、1990年には本田技術研究所の専務に昇格します。彼の専門知識は単にバイクだけでなく、四輪部門にも及び、1996年には米国の生産子会社であるHonda of America Manufacturing, Inc.の社長に就任しました。1998年には帰国し、本田技術研究所の社長に就任、ホンダの第3期F1参戦の総責任者としても活動しました。

2003年、ホンダの第6代社長に就任し、2008年にはF1レース活動からの完全撤退を発表することとなります。彼の経営スタイルは、実力主義を重視するものであり、特にドライバー選定においては国籍に関係なく性能を重視しました。このため、同年のインタビューで、日本人ドライバーへの起用に関して「我々は決して日本だけを見ているわけではない」と語りました。

2013年には一般社団法人日本二輪車普及安全協会の会長に就任し、2018年春に旭日重光章を受章しました。福井はホンダにおける技術革新の推進者として知られ、また自らもF1マシンを運転するなど技術者としての側面も持ち合わせています。特に2004年の技術プレゼンテーションにおいて、自らF1マシンを運転し最高速度292km/hを記録したことから、彼は「世界一速い社長」と称されることになりました。

福井の功績は、単に企業経営にとどまらず、彼が関与した様々な技術開発やモータースポーツ活動にわたり、ホンダのブランド力や技術レベルを向上させることに寄与しました。彼の模範的なキャリアは、多くの後進の技術者にとっての目標であり、ホンダの発展における重要な存在であり続けています。

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