福井慎二

福井 慎二（ふくい しんじ）氏は、1956年7月17日生まれ、北海道札幌市出身の元NHKシニアアナウンサーです。北海道札幌東高等学校、小樽商科大学商学部を卒業後、1980年にNHKに入局しました。現在はシニアスタッフとして活動しており、NHK文化センターの講師や防災士としての顔も持ち合わせています。

福井氏のNHKでのキャリアは多岐にわたりますが、特に報道分野での活躍が顕著です。入局当初はスポーツ実況アナウンサーを目指していたものの、後に事件・事故・災害の緊急報道や現場からのリポートを中心に担当するようになります。『おはよう日本』の現場リポーターとして、全日空857便ハイジャック事件や、長期に及んだ在ペルー日本大使公邸占拠事件の際には現地から緊迫した状況を伝えた経験を持ちます。また、『NHKニュース7』や『ニュースウオッチ9』といった主要なニュース番組では、ニュースリーダーやナレーターとして長年にわたり視聴者にニュースを届けてきました。特に『ニュースウオッチ9』では通算7年間ナレーションを担当し、番組のエンディングで一度だけ画面に登場したこともあります。

勤務地の変遷も福井氏のキャリアの一つの特徴です。東京アナウンス室に複数回勤務したほか、北海道（旭川、釧路、札幌）、秋田、長野、金沢といった主に北日本、特に積雪の多い地域や寒冷地での勤務が多くを占めています。これは、かつて出演した番組で自ら語ったエピソードにも裏付けられています。社会人生活の最初と晩年を故郷である北海道の旭川放送局で過ごしていることも特筆すべき点です。

アナウンサーとしての個性としては、担当していた関東甲信越向けのニュース番組のエンディングで見せた独特なお辞儀が視聴者の間で知られています。カメラに向かって行うこの特徴的な所作は、2018年の北海道胆振東部地震や2020年の新型コロナウイルス緊急事態宣言関連報道においても、自身の流儀として貫かれました。このような報道現場での豊富な経験に加え、各放送局でアナウンス副部長や統括、番組のチーフ・プロデューサーや編集責任者といった管理・制作業務も兼任し、組織運営にも貢献しています。

福井氏がアナウンサーを志すきっかけとなったのは、中学生時代に聴いていた深夜ラジオ番組のパーソナリティへの憧れ、そして学生時代に見た映画『大統領の陰謀』に感銘を受け、報道の世界に興味を持ったことであると語っています。個人的な側面としては、北海道での鰊漁のために移住した祖先から数えて6代目に当たることが挙げられ、本家がある積丹町の鰊御殿は現在資料館となっています。趣味は旅、映画、スキー、ゴルフ、そして幕末史や坂本龍馬の研究という幅広い分野にわたります。好きな食べ物として札幌ラーメンを挙げています。

これまでの担当番組は多岐にわたり、『おはよう日本』のキャスターやリポーター、『首都圏ネットワーク』のリポーター、ドキュメンタリー番組のナレーター、さらには『囲碁・将棋ジャーナル』の司会なども務めました。地域放送においても、『イブニングネットワーク北海道』、『ほくほくテレビ』、『NHKニュースおはよう北海道』など、様々な番組を担当しています。近年は北海道に戻り、道内ニュースや『北海道中ひざくりげ』の旅人、『ラジオ文芸館』での朗読など、地域に根ざした活動を行っています。

現在もNHKシニアスタッフとして活動を続け、その豊富な経験を活かしています。防災士の資格も持ち、安全・安心に関する啓発活動にも関わっていると考えられます。長年の報道アナウンサーとしてのキャリアと、北海道という故郷への深い関わりが、福井氏の活動の根底にあります。彼の語り口やニュースへの真摯な姿勢は、多くの視聴者に信頼感を与えてきました。

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