福井鉄道南越線

福井鉄道南越線：歴史と廃線後の状況

福井県越前市の社武生駅から鯖江市の戸ノ口駅までを結んでいた福井鉄道南越線は、1915年の開業から1981年の全線廃止まで、地域社会に深く根差した路線でした。本稿では、南越線の歴史、廃止に至るまでの経緯、そして廃線後の状況について詳細に解説します。

開業から廃止まで

南越線は、武岡軽便鉄道として1911年に認可され、段階的な延伸を経て全通しました。当初は762mmの狭軌でしたが、1924年には1067mmに改軌され、同時に岡本新駅-戸ノ口駅間が開業しました。その後、社名変更や合併を繰り返し、1945年には福井鉄道の一路線となりました。

しかし、モータリゼーションの進展により乗客数は減少の一途を辿り、1971年には粟田部駅-戸ノ口駅間が廃止されました。残りの区間も、五分市駅から分岐する専用線の貨物輸送契約の関係で廃止が遅れましたが、1981年に全線廃止が決定、地域に惜しまれつつ歴史に幕を閉じました。

興味深い路線特性

南越線にはいくつかの特徴がありました。社武生駅は国鉄北陸本線武生駅に連絡しており、貨車の受渡しや甲種輸送が行われていました。また、岡本新駅はスイッチバック式配線という珍しい構造になっていました。

路線データは以下の通りです（1971年時点）。

路線距離：14.3km
軌間：1067mm
駅数：14駅
複線区間：なし
* 電化区間：全線（直流600V）

多様な車両

南越線で使用された車両も、その歴史を物語っています。762mm時代の蒸気機関車や客車から、改軌後の様々な車両、そして最終的に使用された130形電車など、時代の移り変わりと共に車両も変化しました。特に130形電車は、廃線時のさよなら運転を担当したことで知られています。他の車両は、京浜電気鉄道や名古屋鉄道からの譲渡車なども含まれており、多様な車両が使用されていたことがわかります。

廃線後の状況と保存車両

現在、南越線の線路跡は大部分が舗装道路となっています。しかし、村国駅跡には個人による私設の鉄道博物館があり、かつて鯖浦線、南越線、福武線で使用されていた160形電車（元モハ62）が保存されていました。しかし、老朽化のため解体が予定されていましたが、2023年に神奈川県の個人に引き取られ、茨城県に移設されることになりました。

まとめ

南越線は、その歴史の中で数々の変化を経験し、地域社会に貢献しました。全線廃止から年月が経ちましたが、その歴史と軌跡は、今も人々の記憶に残り、そして一部は形として残されています。残された資料や、語り継がれる記憶を通して、南越線の歴史を学ぶことは、地域の変遷や鉄道の歴史を考える上で貴重な機会となるでしょう。 今後の研究や保存活動を通して、この貴重な歴史がより多くの人に知られることを期待したいです。

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