福住清風

福住清風（ふくずみ きよかぜ）は、安永7年（1778年）に信濃国飯田城下（現在の長野県飯田市）で生まれ、嘉永元年9月14日（1848年10月10日）に没した江戸時代後期の歌人です。

幼名を米吉、佐六と称し、後に喜三郎と名乗りました。諱は貞直、号は梅門、松老、徐崖、笹の屋、笹垣、清風を用いました。旧家である長瀬家に生まれましたが、飯田藩の御用商人である町年寄・福住家の養子となり、薬種商や貸本屋を営む傍ら、歌人としての道を歩みました。

当初は狂歌を詠んでいましたが、化政文化の頃に本居宣長門流の植松茂岳（尾張藩士）に入門し、和歌の道へと進みました。新古今集を歌道の真髄とし、その流麗な歌風は多くの人々を魅了しました。しかし、古今集を重んじる桂園派とは対立し、内山真弓が著した『榜示杭』では、清風の著書である『呼子鳥』が批判され、論争が展開されました。

清風の門下からは、北原稲雄や松尾多勢子といった優れた歌人が輩出しており、その影響は後世にも及んでいます。主な稿本としては、『呼子鳥』、『ひとつ心』、『伊勢物語 後釈』、『むつのはな』、『夕月夜』、『土佐物語 新釈』、『志つだまき』などが挙げられます。

福住清風は、その生涯を通じて和歌の道を追求し、独自の歌風を確立しました。彼の作品は、今もなお多くの人々に愛され、その功績は日本の歌道史において重要な位置を占めています。

参考文献
村沢武夫著『伊那歌道史』国書刊行会、1973年
『長野県姓氏歴史人物大辞典』角川書店、1996年

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