福山 (城下町)

福山城下町の歴史と概要

福山は、広島県福山市の中心部に位置する城下町であり、1622年に築城された福山城に関連する町であります。この地は元和8年（1622年）に福山城が完成するまで、備後国深津郡の中心地として栄えていました。城の築城に合わせて新たに形成されたこの町は、当初は主に田畑や湿地帯で構成されていました。

構造と住居

福山の町は、「総構え」と称される外郭によって囲まれ、身分に応じて居住区域が分けられていました。南側と西側には藩士が住む侍屋敷が多くあり、町屋は東側と南東に集中していました。町の防備強化のため、戦略的に重要な地点には寺社地や足軽町が配置されていました。また、侍屋敷は面積で町屋の約3倍を占めており、江戸時代を通じて大きな変動はありませんでしたが、町屋は地子の免除などで徐々に範囲を広げていきました。

明治時代に入ると、侍屋敷は売却され農地に転用される一方、町屋が集まった城下東部は「本通り」を中心として福山の繁華街へと発展しました。しかし、福山大空襲によって江戸時代の建物の多くは焼失し、1965年の区画整理で町名も大幅に変更されました。今日、城下町の面影を残すのは吉津町周辺で、旧上水道や「鍵の手」の道路が見られます。

歴史の変遷

福山が誕生する以前の情報は不明確ですが、近年の研究により、かつての地名や文書からこの地の歴史が明らかになっています。平安時代の末には福山城近隣に「杉原保」と称される地域が存在し、様々な歴史が織り交ぜられています。江戸時代初期には福島正則がこの地を治め、その後水野勝成が新たに福山城を築城しました。最初の築城は元和5年（1619年）から始まり、洪水によって工事が中断されたりと苦難の末、元和8年に福山城は完成しました。

その後も福山の町は発展を続け、18世紀には水野家断絶後も松平氏、阿部氏が藩主を務めました。幕末には長州軍から攻撃を受け、城は恭順しつつ大きな被害を免れました。明治維新後、福山藩は廃藩置県によって福山県となり、その後福山城は1873年に廃城となりました。

町の主要施設

福山の城下町には下屋敷や侍町、町屋といった多様な居住区が広がり、藩主の下屋敷は火災によって大部分が焼失しました。城下南部には商人が住む町も多く、町の発展に寄与していましたが、空襲や区画整理によって現在はその多くが消失しています。昔の名残を色濃く残すのは内藤家長屋門、賢忠寺、妙政寺などの寺社です。

現在の福山

今日の福山は、歴史を背負いながらも新しい発展を遂げてきました。街の中心部には観光名所も点在し、歴史を感じさせるエリアも残っています。福山城の跡地は周囲に賑わいを見せる中、今日もかつての繁栄を題材とした観光地として人々に愛されています。福山の城下町の形態は、歴史と人々の営みの証として、今なお語り継がれています。

もう一度検索