地子

地子とは

地子（じしまたはちし）とは、日本の古代から近世にかけて存在した地代の一種で、領主が田地や畠地、山林、塩田、屋敷地等に賦課した賃レンタル料金を指します。この制度は、時代と共に形態が変化してきました。

地子の分類と納入形式

地子は土地の種類に基づいて区別され、例えば、田地にかかるものは「田地子」、畠地にかかるものは「畠地子」などと呼ばれました。当初は土地の生産物が地子として納入されていましたが、中世後期に貨幣経済が発展すると、貨幣で納入されるケースが増えました。これにより、米などの生産物で納入される地子は「地子米（地子稲）」、銭で納入されるものは「地子銭」として区別されました。

古代の地子制度

古代日本の8世紀初頭には、律令制の下で公田の口分田が百姓に班給された後、余った土地が貸し付けられ、収穫物の2割を国に納入しなければなりませんでした。この収入が地子または地子稲と呼ばれ、特に畿内や伊賀国では正税の補充として活用され、他の地域でも様々な用途に使われました。初期荘園も地子収入によって運営されていました。

中世における地子の変化

9世紀から10世紀にかけて、富裕な百姓たちによって形成された私領でも地子制度は適用され、この私的利益を国衙から認可されていました。11世紀から12世紀にかけての荘園制の成立により、官物の収取権が荘園領主に移行し、年貢と地子は深く結びつくようになりました。特に、下級荘園領主は農民から様々な名目で地代を徴収し、その額は時に本年貢の何倍にも及ぶことがあったと記録されています。

中世の中頃から後期にかけて、商品流通の発展と貨幣の普及が進むと、地子の貨幣納入は徐々に一般化しました。特に、戦国時代になると都市部のみならず農村でも地子銭による納入が見られるようになり、夏に納められる畑年貢に相当する地子も貨幣で支払われることが増加しました。

近世の地子

豊臣秀吉の太閤検地により、以前の中世的な地子制度は廃止され、近世には田地における地子は見られなくなりました。一方、都市において屋敷地に課される地代は依然として「地子」と呼ばれ、ここでも貨幣経済の定着により地子銭が一般的となりました。明治以物時代に近代的な税制が確立されることで、地子という制度は姿を消しましたが、地主が小作から取る地代については、依然として地子的な性格を持っていました。これらは「小作料」と呼ばれるようになりました。

その他の用語

「地子」という単語は、外国原産のインコなどの若い個体を指す場合もあります。この場合、地子は「地仔（じご）」として表記され、読みは異なりますが漢字は同じです。

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