福岡幸吉

福岡幸吉の生涯

福岡幸吉（ふくおか こうきち）は、1878年（明治11年）9月2日に鹿児島県で生まれました。彼は日本の政治家として、室蘭市と小樽市の市長を歴任し、それぞれの都市の発展に大きく貢献しました。彼の政治家としてのキャリアは、決して平坦なものではありませんでしたが、その行動は多くの人々に影響を与えました。

初期の経歴

福岡は東京府城北尋常中学校（現在の城北中学校・高等学校）を卒業後、1906年に北海道庁に入庁し、釧路支庁に勤務しました。その後、上川支庁管内の比布村（現在の比布町）長に就任し、地方行政の経験を積みました。増毛、留萌、室蘭の各支庁での勤務を経て、1917年には留萌町長に就任しました。翌1918年には室蘭市助役に転じ、室蘭市政の中枢で活躍しました。

初代室蘭市長としての活躍と辞任

1929年、福岡は室蘭市長に就任しました。しかし、市長就任直後から、消火栓購入を巡る汚職事件、市立病院医師の退隠料支給問題、市役所職員による税金横領事件など、相次ぐ不祥事が発覚しました。これらの責任を問われ、福岡は「一身上の都合」として市長を辞任しました。その後、室蘭市会議員となり、議長を務めました。

二度目の室蘭市長就任と再び辞任

1935年、福岡は再び室蘭市長に就任しました。彼は、かねてからの懸案であった市営飛行場の建設や上水道の整備などを実現させました。しかし、1937年3月、市会予算委員会において、室蘭高等女学校への寄付金支出を巡り、委員会が紛糾しました。市会を経ずに独断で寄付を行った福岡の責任が追及され、市会は本会議で寄付金の削除を可決し、さらに福岡に対する市長辞職勧告決議案を可決しました。この決議に対し、福岡は道庁に上申しましたが、道庁は福岡の案を支持せず、市長と市会で問題解決を図るよう指示しました。その結果、市長不信任問題とは切り離して寄付金の復活が可決されました。長年の懸案事項を解決した福岡は、自ら市長辞任を決意し、1937年11月5日に辞表を提出し、翌日の市会で承認されました。辞任後は小樽市助役に就任しました。

小樽市長としての戦後復興への尽力

1945年5月、当時の小樽市長が病気を理由に退職したことを受け、6月に助役であった福岡が市長に就任しました。終戦直後という混乱期の中、進駐軍との交渉や戦後処理に奔走し、市民の食糧確保を最優先課題として、自家菜園の指導、農地の貸与、製炭事業、道路の修理、家屋の建築など、市政運営に尽力しました。戦後改革によって市長の公選制が決定すると、福岡は出馬せず、1946年11月に市長を辞任しました。翌年4月に新市長が決定するまでの間は助役が市長代理を務めました。

福岡幸吉は、二度の室蘭市長辞任という波乱万丈な経歴を持ちながらも、各都市の発展に大きく貢献した人物でした。特に、戦後の混乱期における小樽市での活躍は、市民生活の安定に大きく寄与しました。彼の功績は、後世に語り継がれることでしょう。

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