福岡玉屋

福岡玉屋の歴史

株式会社福岡玉屋（ふくおかたまや）は、福岡県福岡市博多区中洲でかつて営業していた百貨店であり、その歴史は1806年にさかのぼります。最初に店舗を開業したのは、肥前国小城郡牛津村に住む田中丸善吉です。彼は荒物商を始め、その後百貨店として成長していきました。彼の曾孫である田中丸善蔵は、1920年に佐世保で九州で二番目の百貨店を開業します。

福岡進出は、1925年に始まります。先に福岡にあった紙与呉服店の廃業に伴い、その商品と什器を買収。事業は急速に展開し、同年10月には福岡市内部にて「株式会社玉屋呉服店」として初めての百貨店を開店しました。これは福岡市にとっても重要な歴史的出来事でありました。

その後、玉屋は次々と新たな試みを行いました。1928年に土間式に改装したことで、土足での入店が可能になり、多くの客を惹きつけました。さらに、1932年には九州初の観光機関であるジャパン・ツーリスト・ビューローを開設し、地域振興に貢献しました。また、同年には九州では初めての電光掲示板を導入するなど、常に革新を追求してきました。

しかし、時代の移り変わりと共に競争が激化しました。1973年には売場面積を大幅に拡張し、顧客により多くの選択肢を提供することに注力しましたが、1976年にはスーパーマーケット事業から撤退する決断を下しました。これは、業態変化の一環であり、時代のニーズに対応するための経営戦略でした。

1985年には新たな地に移転する構想を作り、その計画が進められていました。しかし、移転計画はのちの1990年代初めに頓挫し、経営の先行きは不透明なものとなっていきました。天神ファイブ跡地への移転計画も、他者との交渉が難航したことで実現せず、経営資源の制約が強まる結果となりました。

1992年には再開発計画の一環として、百貨店とホテルの共同出展が予定されましたが、高島屋が出店を辞退したことにより、このプランも挫折しました。その後も幾度かの出店構想が浮かんでは消え、遂には1900年代末に向けて業績が傾くようになりました。

ついに、1999年7月15日、福岡玉屋は閉店を余儀なくされた。この日は博多祇園山笠の「追い山」の日と一致しており、地域の人々も長年の感謝を示す場となりました。ただし、百貨店閉店後も「福岡空港売店」など一部の店舗は継続営業し、株式会社玉屋食品が引き継ぐ形となりました。

閉店から数年後、元の店舗が解体され、新たな商業施設「ゲイツ」が2006年にオープンしました。福岡玉屋の歴史は、地域経済と文化に多大な影響を与え、多くの人々に愛された百貨店として語り継がれています。

もう一度検索