福岡高等学校 (旧制)

旧制福岡高等学校：歴史と伝統を刻んだ名門校

1921年（大正10年）、福岡県に設立された官立の旧制高等学校、旧制福岡高等学校。その歴史は、高等教育の隆盛期、そして激動の昭和初期を映し出す貴重なものです。本稿では、開校から閉校、そしてその後の校地利用に至るまで、旧制福岡高等学校の歩みを詳細に辿ります。

建学と発展：黎明期の歩み

高等学校令（第二次高等学校令）に基づき、1921年11月9日に設立された旧制福岡高等学校は、翌1922年4月、文科3組、理科2組、定員200名で開校しました。最初の入学式は盛況を極め、新たな時代の幕開けを告げました。同年9月には約100名収容の寮も開設され、遠方からの生徒を受け入れました。

開校から間もなく、1924年には社会科学研究会が結成され、活発な学術活動が始まりました。1925年には最初の卒業式が挙行され、同窓会も発足。卒業生たちは社会の各分野で活躍を始めます。1927年には志賀島で「乱舞会（ストーム）」というイベントが開催されるなど、生徒たちは豊かな学生生活を送っていました。1931年には寮が「学而寮」と命名され、生徒たちの学びの場として重要な役割を果たしました。

戦時体制下と終戦：激動の時代

1940年には紀元2600年記念式典が開催され、校友会は解散、報国団が結成されるなど、戦争への影響が顕著になっていきます。1942年には理科の組数が2組から3組に増え、また、戦時下の教育体制変更により、修業年限が短縮される措置がとられました。卒業式は繰り上げられ、学生生活は大きく変容を余儀なくされました。

戦況の悪化は、教育制度に更なる変化をもたらしました。1943年には修業年限は2年に短縮、さらに1944年には組数も変更され、生徒たちは過酷な状況の中で勉学に励みました。終戦後の1946年には修業年限は3年に戻されましたが、戦争によって中断された教育を取り戻すための努力が続けられました。

新制大学への移行と閉校：新たな時代の到来

1949年4月1日、文部省令により法文学部が廃止され、法学部、経済学部、文学部が設置。そして、同年5月31日、旧制福岡高等学校は新制九州大学に包括され、「九州大学福岡高等学校」となりました。同年6月には在学1年で修了した27回生が新制大学第1回入学試験を受験しました。

一般教養課程実施のため、旧制福岡高等学校の校地には第一分校が設置されましたが、1950年3月31日、法律により九州大学福岡高等学校は廃止されました。長い歴史に幕を閉じました。

閉校後：校地の継承と発展

閉校後も、旧制福岡高等学校の校地は九州大学に継承され、第一分校、その後分校、教養部として利用されました。1955年には第二分校（久留米）と統合され、1963年には教養部となりました。1994年に教養部が廃止された後も、全学教育科目は六本松地区で行われましたが、2009年にはキャンパス統合のため六本松キャンパスは廃止され、跡地は都市再生機構に売却されました。1968年には同窓会「青陵会」によって「青陵の泉」が設置され、旧制福高の伝統は今も息づいています。

著名な出身者：各界で活躍した卒業生たち

旧制福岡高等学校からは、政治家、経済人、法曹界、学者、文化人など、多様な分野で活躍した著名な卒業生を輩出しました。その中には、国会議員、官僚、企業経営者、大学教授、作家、芸術家などが含まれ、日本の近代化に貢献した人材も多くいます。これらの卒業生たちの業績は、旧制福岡高等学校の高い教育水準と伝統を示すものです。

まとめ：歴史的遺産としての価値

旧制福岡高等学校は、日本の高等教育史において重要な役割を果たした名門校でした。その歴史、伝統、そして卒業生たちの功績は、今日においても高く評価されています。かつての校地は、新たな姿で発展を続けていますが、旧制福岡高等学校が築き上げた歴史と伝統は、後世に語り継がれるべき貴重な遺産です。

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