福島県立遠野高等学校

福島県立遠野高等学校

福島県いわき市遠野町に、かつて存在した公立高等学校が福島県立遠野高等学校（ふくしまけんりつ とおのこうとうがっこう）です。この学校は、地域の教育拠点としての役割を長年にわたり担ってきましたが、福島県立いわき湯本高等学校への統合に伴い、2021年度をもってその歴史に幕を下ろしました。

学校の始まりは1948年（昭和23年）に遡ります。当時の地元住民たちの熱心な協力と支援によって、福島県立磐城農業高等学校の分校として上遠野の地に産声を上げました。分校として一定の教育活動を続けた後、地域社会の発展と教育ニーズの高まりに応える形で、1963年（昭和38年）には福島県立遠野高等学校として独立を果たしました。独立後も教育環境の整備が進められ、1984年（昭和59年）には新しい校舎が完成し、教育活動の基盤が強化されました。

設置されていた学科は、全日制課程の普通科のみでした。少人数ながらも、地域に根ざした教育が行われていました。卒業生の進路については、多様な道を選んでいました。全体の約半数を占めていたのが就職の道でした。地元企業への就職が多く見られ、地域産業を支える人材を育成する役割も果たしていました。進学を希望する生徒の中では、専門学校への進学が多数派でした。特定の技術や知識を身につけ、実社会で活躍できる能力を養うことを目指す生徒が多かったと言えます。一方、四年制大学への進学は比較的少数でしたが、希望者の多くは指定校推薦制度を利用して合格を勝ち取っていました。

学校生活を彩る部活動も盛んに行われていました。運動部としては、サッカー部、バレーボール部、バドミントン部があり、日々の練習に汗を流し、技術の向上を目指していました。文化部では、美しいハーモニーを響かせる合唱部、商業に関する知識や実践力を磨く商業研究部、集中力と駆け引きが求められる卓球部、そして日本の伝統文化に触れる百人一首同好会などが活動していました。生徒たちはそれぞれの興味や関心に応じて部活動に参加し、学び舎での思い出を深めました。

学校へのアクセスは、JR常磐線の植田駅または湯本駅から新常磐交通バスを利用し、「上遠野」バス停で下車するのが主な方法でした。かつてはJR水郡線の磐城石川駅からの福島交通バス路線も存在しましたが、こちらは2007年9月をもって廃止されました。

学校の沿革を改めて振り返ると、1948年4月1日の分校開校に始まり、1963年の独立創立、1984年の新校舎落成を経て、2022年（令和4年）3月31日に福島県立いわき湯本高等学校への統合に伴い閉校となりました。閉校後、2022年4月1日からは福島県立いわき湯本高等学校の遠野校舎として引き続き利用されていましたが、この校舎も2024年（令和6年）3月31日をもって廃止されることになりました。校舎の廃止に先立ち、2024年2月28日には地域住民や卒業生が集い、母校へのお別れ会が開催され、多くの人々が学び舎との別れを惜しみました。

この学校からは、女優の伊東美咲さんが在学したことでも知られていますが、後に大阪府の高等学校へ転校しています。

福島県立遠野高等学校は、いわき市遠野町の教育と文化の中心として、多くの地域住民に支えられ、数々の卒業生を社会に送り出してきました。その歴史は閉校という形で一区切りを迎えましたが、地域に根差した教育の精神は、卒業生たちの心の中に生き続けていくことでしょう。

沿革

1948年（昭和23年）4月1日 - 福島県立磐城農業高等学校上遠野分校として開校。
1963年（昭和38年） - 福島県立磐城農業高等学校上遠野分校から福島県立遠野高等学校として分離創立。
1984年（昭和59年） - 新校舎を落成。
2022年（令和4年）3月31日 - 福島県立いわき湯本高等学校の開校に伴い閉校。
2022年（令和4年）4月1日 - 福島県立いわき湯本高等学校遠野校舎に移行。
2024年（令和6年）2月28日 - お別れ会を開催。
* 2024年（令和6年）3月31日 - 遠野校舎を廃止。

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