福島護

福島 護（ふくしま まもる）

福島護は、日本の郷土史家として知られています。彼は東京都台東区の谷中で生まれ、新聞社で校正係として働いた後、第二次世界大戦中には茨城県の岩瀬町に疎開しました。疎開先では新聞店を経営し、地域のローカル紙の発行に携わる傍ら、郷土の歴史に深い興味を持ち始めました。

戦後も福島は岩瀬町に留まり、生活の困難な時期においても郷土史の研究を続けました。彼の研究は、主に妻の静子や家族からの支えを受け、また、静子の長姉夫の富谷五鉄などからも精神的な励ましを受けながら進められました。地方での厳しい環境の中でも、福島は多くの文人と親交を結び、そのなかには著名な童画家の武井武雄や若林一男が含まれていました。

福島の学校教育は限られたものでしたが、独学で郷土史の研究を進めました。彼は文献や古文書の解読、古老からの聞き取り調査、現地の神社や仏閣、旧家、さらには遺跡のフィールドワークによる調査を行うなど、多様な手法を駆使しました。文章の技術については、同じく台東区出身の詩人・久保田万太郎から手紙を通じて添削を受ける経験も有しました。

彼の研究成果は、『茨城県郷土史 - 三那珂沿革史』にまとめられましたが、作品が刊行される直前に、昭和の大合併による市町村名の変更などの影響で中断を強いられる困難も経験しました。それでも福島はこれらの挫折を乗り越え、1955年3月にこの著書を世に送り出しました。彼はその後も郷土史を通じて地域の歴史を守ることに力を注ぎ続け、57歳で亡くなるまで、研究に情熱を注ぎました。

『茨城県郷土史 - 三那珂沿革史』について

福島が独力で編集したこの著書は、庶民に向けた内容でありながら、読みやすさに欠ける側面も見受けられました。それでも、彼は歴史を幅広く探求し、収集した情報を可能な限り反映させる努力をしました。刊行に際しては、大正大学の坂戸智海教授や県仏教連合会の黒田坦海など、多くの有志の協力を得、後藤武男や西村信吉、南畝義生、友末洋治といった地元の著名人も協力者として名を連ねました。題字は、徳川宗敬によるものです。

また、2005年には福島の著書『郷土史-三那珂沿革史』が遺族によって復刻され、さらに2007年には一部が抜粋され、小冊子として財団法人いばらき文化振興財団の助成を受けて刊行されています。これにより、福島護の遺した郷土の歴史が今なお多くの人々に知れ渡る機会を持ち続けています。

著書一覧

• - 『茨城県郷土史-三那珂沿革史』 1955年
• - 『郷土史　復刻版-三那珂沿革史』 2005年
• - 『桜川昔ばなし抄-三那珂沿革史　福島護著より』 2007年

このように福島護は、日本の郷土史の研究と保存に尽力し、その成果は後世にも多くの示唆を与え続けています。

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