徳川宗敬

徳川 宗敬の生涯と業績

徳川 宗敬（とくがわ むねよし、1897年5月31日 - 1989年5月1日）は、傑出した日本の林学者であり、陸軍軍人、政治家、教育者、神職として多岐に渡り活躍した人物です。彼は、水戸徳川家の第12代当主・徳川篤敬の次男として東京で生まれ育ち、母は徳川總子です。初名は敬信で、最終的に宗敬と名乗りました。

学業とビジネスのキャリア

1910年に著名な教育機関である東京高等師範学校附属小学校を卒業し、1915年には附属中学校を修了しました。その後、1916年には一橋徳川家第11代当主である達道の養子となり、1923年には東京帝国大学農学部の林学科を卒業しました。卒業後、彼は宮内省帝室林野局に勤務し、その後、1926年にはドイツ・ベルリンに留学。1928年に帰国し、1934年に家督を継いで伯爵位を襲名しました。

政治活動

彼は1939年に貴族院議員に当選し、1941年には東京帝国大学から農学博士の学位を得るとともに、江戸時代における造林技術に関する研究を行いました。1946年には、最後の貴族院副議長としての任に就きましたが、日本国憲法の施行に伴い貴族院が廃止されたため、その役職は短期間で終わりました。以降、彼は日本博物館協会の会長に就任し、文化や教育分野に多大な影響を与えました。

緑化運動への貢献

宗敬は、緑化運動に終生身を捧げ、「緑化の父」とも称されました。戦前は帝国森林会の会長を歴任し、戦後の1947年には森林愛護連盟を設立し、1950年に設立された国土緑化推進委員会では理事長を務めました。この委員会では、日本全国の植樹活動に尽力しました。彼の緑化運動への貢献は評価され、1990年には「みどりの文化賞」の初代受賞者に選ばれました。また、彼の死後には、一橋徳川家の樹林地が「千石緑地」として一般に開放されました。

教育活動と寄贈

教育者としても多くの業績を残した宗敬は、1944年には本郷学園の第2代校長に就任し、名誉校長として後進の育成に尽力しました。また、彼の養父が収集した約5万冊の江戸時代の写本や版本は、東京国立博物館に寄贈されるなど文化財の保護にも尽力しました。さらに、東京大学で林業史について講義を行い、退官時には多くの古文書を大学に寄贈しました。

家族と晩年

宗敬の家庭環境も興味深く、父は徳川篤敬、養父は徳川達道で、実兄に公爵徳川圀順がいます。妻は侯爵池田仲博の長女・幹子で、さらには家族間に多くの血縁関係がありました。彼は1989年に膵臓癌により91歳でこの世を去り、従三位に叙せられました。彼の人生は林業や教育、政治に多大な影響を与えたことが評価されているのです。

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