福本邦雄

福本邦雄の生涯と影響

福本 邦雄（1927年1月5日 - 2010年11月1日）は、日本の実業家、画商、政治活動家、かつ元日本共産党員であり、政界における著名なフィクサーの一人として広く知られています。彼は、神奈川県鎌倉市に生まれ、東京大学の経済学部を卒業した後、1951年には産業経済新聞社に入社しました。政治部記者になる予定でしたが、共産党員であった過去のため調査研究室に配属され、国際情報の翻訳作業にも従事しました。

彼は、1959年から1961年にかけて、第2次岸内閣や自民党の秘書官を務め、政界において多くの人脈を築きました。その中で、岸信介や椎名悦三郎から信任を受け、安保闘争時には自衛隊の出動に反対するなど、政治的影響力を発揮しました。特に、樺美智子の圧死事件の際には、内閣に対して追悼の手続きを進言したとされ、その後の閣議においても彼の意見が反映されることがありましたが、政府声明が異なる内容になったことに失望した経歴も持ちます。

その後、彼は政界から離れ、1961年にはPRエージェント会社「フジ・コンサルタント」を設立。その後、画廊「フジ・アート」や「フジ出版社」などの企業も興し、経営に従事しました。特に、1991年に発覚したイトマン事件では、彼の画廊が関係していることが指摘されました。これにより、福本は裏社会との結びつきも噂されるようになりました。

福本は様々な政治団体での役割も果たし、中曽根康弘、竹下登、宮澤喜一、安倍晋太郎ら、時代の重要な政治家たちと密接な関係を持っていました。竹下登との絆は特に有名で、竹下が内閣官房副長官に就任する際には、福本が事務局を務める「竹下会」が結成されました。この政治団体は竹下が首相になった後も続き、福本の指導力がいかに高かったかが伺えます。

福本はまた、著名な著書を多数残しており、『官僚』や『表舞台 裏舞台―福本邦雄回顧録』など、彼の経験や思考を反映した作品が多くあります。また、短歌や文芸評論も手がけており、月刊雑誌『選択』では短歌の評論連載でも知られています。

晩年、彼は様々な組織での要職に就いていましたが、2010年に敗血症のため亡くなりました。福本邦雄の生涯は、戦後の日本における政治と経済の深部に関わる重要なストーリーを物語っています。彼の存在は、表舞台の裏にある政治の機微を考える上で欠かせないものとなっています。

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