福永陽一郎

福永陽一郎

福永陽一郎（ふくなが よういちろう、1926年4月30日 - 1990年2月10日）は、兵庫県神戸市に生まれた日本の指揮者、編曲家、音楽評論家であり、特に合唱やオペラの分野で卓越した業績を残した人物です。彼の音楽家としてのキャリアは、今日の日本の合唱界においても多大な影響を及ぼしています。

来歴

福永は関西学院中学部や西南学院中学部、高等部を経て東京音楽学校（現在の東京藝術大学）に入学しましたが、1948年に中退します。在学中、彼は東宝交響楽団で近衛秀麿に師事し、指揮や作曲法を学びました。その後、西南学院大学神学部への進学を果たしますが、再び上京し藤原歌劇団に入団し、オペラ演奏法を学びました。

音楽活動は順調に進行し、特に合唱の分野における指揮者としての地位を確立しましたが、晩年には腎臓病のため人工透析を受けながらも音楽活動を続けました。1990年に63歳で亡くなった後、1992年には藤沢市芸術文化振興財団が設立され、彼の名を冠した「福永陽一郎賞」が創設されるなど、その影響は今でも続いています。

人物と活動

福永は東京音楽学校在籍中、教育制度への不満から中退したことを語っていますが、特に著名な教授との対立がその理由とされています。指揮者としては男声合唱に力を入れ、関西学院グリークラブに入会するなど幼少期から音楽に親しんでいました。1952年には日本初の職業男声合唱団「東京コラリアーズ」を設立し、指揮だけでなく編曲も手がけました。また、数冊の『グリークラブアルバム』の編纂や複数の学際での合唱団指導も行いました。

福永の合唱指導力は非常に高く、1959年には法政大学混声合唱団の常任指揮者となり、全日本合唱コンクールで初の金賞受賞に導きました。彼は編曲家としても知られ、さまざまなジャンルの作品を手がけ、その成果は数多くの楽譜によって広く普及しています。

また、彼の編曲には安田二郎というペンネームが使われ、時には混声合唱曲を男声合唱用にアレンジすることもありましたが、当初はそのような改変を好ましくないと考えていました。一方で、実際には多くの混声から男声への編曲を行っています。

オペラとの関わり

福永の活動はオペラ界にも広がり、藤原歌劇団の常任指揮者として多くの作品の日本初演を手掛けました。特にロッシーニやプッチーニの作品、日本初演の実績は彼の業績のひとつとして評価されています。1964年に藤原歌劇団を退団後も、NHKイタリア歌劇団での活動を経て市民オペラの設立に貢献し、専門家とアマチュアの共演という新たな形の音楽文化を生み出しました。

音楽評論家として

評論家としては「レコード芸術」や「音楽現代」においてレコード評価を執筆し、独自の視点と強い意見が評価されました。彼の著書も多く、特にレナード・バーンスタインに関する評論は忘れられないものとなっています。

総括

福永陽一郎は、音楽家として合唱やオペラにおける指導者としての業績だけでなく、編曲や音楽評論といった多岐にわたる分野においても多大な功績を残しています。彼の活躍は、今日でも日本の音楽界に強い影響を持ち続けています。

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